本研究はスマートグリッド及びスマートハウスの連系を目的として,配電系統の省エネルギー化およびスマートハウスへの高品質な連系を行うため,配電系統の低周波数化およびマトリクスコンバータを用いた電力変換装置の利用を提案するものである。 本研究は3段階に分けて行われた。まず,スマートグリッド内でのトランスレス化を目的に,研究者等が提案している方式によるマトリクスコンバータにより,入力10Hz出力50Hzの電力変換について検討した。その際に電力脈動に起因する入力電圧の変動や,出力にノイズ除去用のフィルタが設置されているため,負荷変動による出力電圧変動が発生するため,これを抑制する制御法について提案を行った。特に軽負荷時にはフィルタの共振周波数による振動が発生するため,仮想ダンピング制御を用いて,これを抑制する方法を提案しシミュレーションと実験結果により,その効果を確認した。 次に,当初の予定には入っていなかったが,出力電圧変動を抑えるため,マトリクスコンバータの出力インピーダンスを低くすると,入出力の電圧・電流の関係が理論値通りにならないことが確認された。この原因は,スイッチングシーケンスに起因する高調波の積により発生しており,シーケンスの方法を変えることによって低減することが可能である事を理論とシミュレーションにより明らかにした。 最後にマイクログリッドに10Hzの交流電源を供給するためのサイクロコンバータの構成についての検討を行った。サイクロコンバータの出力電圧には転流による高調波ノイズが重畳するが,この電圧を電源としてマトリクスコンバータを駆動させても,動作に支障がなく,需要家に50Hzの電力を供給できることをシミュレーションにより確認した。
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