研究課題/領域番号 |
25420254
|
研究機関 | 独立行政法人海上技術安全研究所 |
研究代表者 |
関口 秀紀 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 上席研究員 (80415843)
|
研究分担者 |
舟木 剛 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20263220)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 電力変換装置 / コモンモード電磁妨害波 / 電流プローブ |
研究実績の概要 |
パワー半導体デバイス等のスイッチング素子を用いた電力変換装置では、広帯域のコモンモード電磁妨害波が発生し、機器自身やその周辺機器に電磁障害を与えることが問題となっている。そこで、本研究課題では、電力変換装置のコモンモード電磁妨害波の発生原因となるスイッチング時の電流、回路の線路間の平衡度、コモンモード電磁妨害波の関係から、コモンモード電磁妨害波発生メカニズムを明らかにすると共に、コモンモード電磁妨害波を定量的に抑制する電力変換装置の回路設計手法を確立し、付加価値の高い電力変換装置の回路設計手法を創出することを目的としており、平成26年度は、以下の研究を行った。 1.コモンモード電磁妨害波測定用器具(電流プローブ)の高精度校正:広帯域コモンモード電磁妨害波電流を高精度に測定するため、ベクトルネットワークアナライザ(VNA: Vector Network Analyzer)を用いたプローブの伝達インピーダンス(感度)を高精度構成方法を提案し、その論文が国際学会論文誌(IEEE Transactions on Electromagnetic Compatibility)に掲載された(平成26年度の研究成果)。また、電流プローブの挿入インピーダンス(被測定回路に与える影響)の実験的な評価を行うと共に、電流プローブの理論的等価回路を検討しその検証を行っている。 2.コモンモード電磁妨害波の発生メカニズムの検討:電力変換装置のコモンモード電磁妨害波の発生原因となるスイッチング時の電流、回路の線路間の平衡度、コモンモード電磁妨害波の関係から、コモンモード電磁妨害波発生メカニズムを定性的に検討し、回路の線路間の平衡度を向上することによりコモンモード電磁妨害波を抑制する電力変換装置の回路設計手法を提案した(平成26年度の研究成果)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」に対して、コモンモード電磁妨害波を抑制する定性的な一回路設計手法が確立できつつある(平成26年度の研究成果)。また、コモンモード電磁妨害波の定量的な測定を行う場合、測定器具の正確な特性を把握することが重要となり、本年度は、電流プローブの伝達インピーダンス(感度)の高精度校正方法を国際学会論文誌(IEEE Transactions on Electromagnetic Compatibility)に提案し採択された。さらに、電流プローブの挿入インピーダンス(被測定回路に与える影響)の実験的・理論的評価を進めており、これらの研究の進捗から本研究課題は、「(2) おおむね順調に進展している」と考える。
|
今後の研究の推進方策 |
被測定回路から発生するコモンモード電磁妨害波を定量的に評価するためには、コモンモード電磁妨害波を正確に測定する必要がある。電流プローブを用いてコモンモード電磁妨害波を測定する場合、被測定回路には電流プローブおよび測定装置のインピーダンスに起因するインピーダンスが付加される。このため、被測定回路のコモンモード電磁妨害波を正確に評価するため、電流プローブの挿入インピーダンスを定性的・定量的に評価することが重要となる。このため、平成27年度は、電流プローブの挿入インピーダンスを定性的・定量的に評価する方法を開発する。また、実験に用いる被測定回路の線路間のインピーダンス平衡度を変化させ、その平衡度とコモンモード電磁妨害波レベルを定量的に評価し、コモンモード電磁妨害波を抑制する定性的な一回路設計手法を確立する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品費に関しては所属機関の既存機器等を利用できたためであり、旅費に関しては外国出張予定を国内出張に変更したためである。また、その他に関しては論文投稿(掲載)料および学会費等の予定額の残額である。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究代表者の所属機関の変更に伴い、本研究課題を円滑に推進するために必要となる物品等を平成27年度に適正に使用する予定である。
|