研究課題/領域番号 |
25420269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
雪田 和人 愛知工業大学, 工学部, 教授 (60298461)
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研究分担者 |
後藤 泰之 愛知工業大学, 工学部, 教授 (70178458)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スマートグリッド / 系統連系 / 潮流制御装置 / 直流給電 / 交流給電 |
研究概要 |
再生可能エネルギー(太陽光発電,燃料電池発電,風力発電など)の高効率運用を目指した電力システムに関して,パラレルプロセッシング方式を用いた給電方式を開発してきた。しかし,余剰電力発生時には再生可能エネルギーの発電停止や蓄電池の運用状況などを考えると,省エネルギーシステムとしては十分でなかった。 本研究では,申請者がこれまで開発してきた給電手法を基本として,システムの高効率運用を目指し,系統―グリット間/グリット―グリット間の電力融通,直流系統と交流系統のハイブリット給電における保護協調問題などを解決することを目的とし実施している。特に,分散型電源が導入された電力系統において,省エネルギー化を図り,高効率運用可能かつ系統故障に頑強である給電システムのための電力潮流制御装置を開発することである。 今年度の研究実績としては,まず交流給電方式と直流給電方式における各給電方式の特徴について、長所と短所を中心に検討した。次に,二つのグリッドを想定した直流系統と直流系統を連系し,電力融通を実施する潮流制御装置(PFC)を設計した。そして,この設計をもとに定格10kW程度のPFCを製作し基礎的実験を実施した。一方,交流給電方式においては,交流系統―交流系統を連系し電力融通を実施するために,パワーエレクトロニクス技術を用いた電力潮流制御装置(UPFC)製作した。また,これまで開発してきた変換器を用いた給電方式において,これまで実施できていなかった逆潮流制御方式の開発を行った。ここで,UPFCの検討には,SiCを用いた半導体素子(FETとIGBT)を用いて変換器の検討を実施した。そして、これら本研究成果の一部を,電気学会を中心に発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,申請者がこれまで開発してきた給電手法について,系統への電力供給や,他グリットへの電力融通を可能にした自由度の高い運用や系統安定性と信頼性を高めるために,電力潮流制御装置の開発を実施することである。この結果,これまでのシステムにおいて問題となっていた余剰電力発生時の再生可能エネルギーの運用効率の向上,グリット間や系統間との電力融通により蓄電装置の高効率運用に関して明らかにすることである。 そこで本研究で開発する電力潮流制御装置の特徴は、交流系統-交流系統,直流系統―直流系統のみならず,交流系統―直流系統,直流系統―交流系統において,電力融通ができる装置である。さらに,現在多面的に研究がなされている直流給電系統の故障発生における保護装置の充実を図ることにある。 今年度の研究達成度に関しては,申請書に記載した目標である交流系統用装置と直流系統用装置に関して,各装置の設計・製作・実験である。この今年度の研究目標においては,当初の計画通り実施した。これらの研究成果の一部についても,電気学会を中心に発表をした。さらに,交流給電系統にいたっては,これまでのシステムで実施できていなかった交流系統への逆潮方式についても検討を行った。この逆潮方式により交流電力融通ができるようになるため,マイクログリッドの電力系統の逆潮流制御方式を開発している。 したがって,おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の計画は,申請書にあるように以下の項目を実施する。 (1)交流/直流ハイブリット化した電力潮流制御装置の設計 平成25年度にて製作した交流系統用の電力潮流制御装置と,直流系統用の電力潮流制御装置の協調および組み合わせについて検討をする。この組み合わせについては,計算機シミュレーションを実施して多面的に検討を行う。 (2)交流/直流ハイブリット化した電力潮流制御装置の製作 上記(1)で検討した内容をもとに前年度製作した装置の改造を行う。このとき,直流系統の保護機能として,交流系統を考慮しながら,直流アークの検出装置の導入,直流遮断機能についても製作を行う。 (3)交流/直流ハイブリット化した電力潮流制御装置の実験 上記(2)で製作した装置について,実験室内において制御実験を行う。このとき,本申請で目標としている1)交流系統―交流系統,2)直流系統―直流系統,3)交流系統―直流系統,4)直流系統―交流系統の4パターンの動特性について検討を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越金額が生じた理由は,変換器装置の一部を製作する必要があり,この電子部品の納期が思った以上に遅かったためと研究成果の発表および資料収集のために旅費がかかったためである。このため電子部品は今年度購入であるため,研究計画に関して問題は発生していない。変換器の素子については,実験において損傷が予想していたため,若干余裕がある状況である。 昨年度購入できなかった電子部品は,今年度納品予定であるため,繰越金と今年度の物品購入費にて非絶縁の直流変換部品を購入する予定である。その他,旅費,謝金などについては,申請書に従い使用する予定である。
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