研究実績の概要 |
パルスパワー領域の高電圧極短パルスと両極性の低電圧バーストパルスを組み合わせたパルスシステム(非対称バーストパルスシステム)を構築して,メダカ受精卵やその他の生物に対する遺伝子導入実験を行った。昨年までのパルスシステムに改良を加え,また,同パルスシステムの2台目を製作し稼動させた。これにより遺伝子導入実験を行う環境を改善した。メダカ受精卵に加えて,本年度よりミジンコ卵とHL60細胞(白血病細胞株)に対する遺伝子導入の基礎実験を開始した。対象となる生物に対する電気的ダメージや周囲溶液に起因する影響を少ないものとする実験条件を調査した。 GFPベクターを混合した等張液中のメダカ受精卵に,パルスパターンとして,高電圧極短パルス(100 ns,3.2 kV)を印加した後に非対称バーストパルス(400発,正パルス300 us,8 V + 負パルス30 us,8V)を印加した場合に約4%,高電圧極短パルスの前後に非対称バーストパルス郡(各200発づつ,正パルス300 us,8 V + 負パルス30 us,8V)を加えた場合に約15%のメダカ受精卵でGFP発光が確認できた。現状では,GFP発光が確認できる個体として正常に発生を続けるものもあるが,卵黄が収縮し死亡するものの割合が高い。今後は前者の割合が増えるようなパルス条件の調査と再現性の確認が必要である。 その他の生物に関して,ミジンコ卵に対しては(まだ数回の実験であるが)一部の個体でGFP発光が確認できた。HL60細胞(白血病細胞株)に対しては導入実験を行える環境の構築ができたため,GFP導入の基礎実験を開始した。
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