研究課題/領域番号 |
25420279
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
有田 正志 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (20222755)
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研究分担者 |
高橋 庸夫 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (90374610)
末岡 和久 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (60250479)
柴山 環樹 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10241564)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 抵抗変化メモリ / 電子顕微鏡 / 電子・電気材料 / 電子デバイス・機器 / ナノ材料 |
研究実績の概要 |
電圧印加により抵抗値が大きく変化する抵抗変化メモリ(ReRAM)が広く研究されている.その動作機構について数種のモデルが提唱され,電子顕微鏡(TEM,SEM)による評価も行われているが,抵抗変化後の静的な状態観察であり,抵抗変化部位に曖昧な点が多い.本研究ではその場TEM法を用いて抵抗変化時の構造変化を動的に直視・分析し,動作機構を明らかする.前年度までに開発を完了したシステムを用い,主にCu/MoOx,Cu/MoOx/AlOxを研究対象としてその場TEM観察を遂行した.これに並行してAlOx層を挿入したReRAMデバイスの特性評価を行い,TEM結果との比較を行った.その結果を論文および国内外の学会・会議にて発表した.詳細は以下の通りである. ①試料加工手法:開発済のイオンシャドー法に加えて,FIB加工に着手した.またリソグラフィー技術を用いた平面型ReRAMの形成を行い,TEM実験に供した.②その場TEM計測:一般に信じられている抵抗スイッチモデルでは導線性のCuフィラメントが正負電極を架橋して低抵抗,架橋が壊れて高抵抗となるが,必ずしもそのようになっていない事が判明した.低抵抗化の時点ではCuフィラメントの架橋は生じていず,その後の通電により架橋する.つまり安定した低抵抗状態の形成に電流が重要な役割をする事が分かった.また高抵抗化の瞬間において大きな構造変化は観測されず,その後の通電によってフィラメントが大きく破断・消失した.このことは,高抵抗化スイッチが局所領域で生じており,通電によるジュール熱が寄与していることを示唆している.③ReRAMデバイス:MoOx系, WOx系の作り込み型ReRAMデバイスを作製し,熱処理による影響を調べた.熱処理によってデバイス抵抗値が低下しており,またスイッチ特性も電気的にリーキーな状態に変化した.これは②の結果を裏付ける物である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ReRAMの抵抗スイッチに関係する導電フィラメントの形成・消失の過程を,その場TEM実験により直接にしかも動的に観察できている.ほぼ予定通りの研究進行状況であり,招待講演など,各種の成果発表を行った.
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今後の研究の推進方策 |
まずH25, 26の結果を数件の論文にまとめると共に,国際会議で広く発表を行う.これによる海外研究者との議論を通じて,ReRAMの動作機構についての共同理解を深める.新たな材料系への適用(TaOx系),平面型ReRAMの研究を遂行して,最終年度の総括を行う.
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