本研究では、高スピン偏極率・垂直磁気異方性・低ダンピング定数を併せ持つ貴金属フリーな磁気抵抗素子(MTJ)を実現するために、第一原理電子状態計算および電気伝導計算による物性機能設計を行った。特に、正方晶ホイスラー合金Mn3Gaに着目し、GaをGeで置換したMn3Geや、Mn25%をFeに置換した(Mn3,Fe)Ga2は、MgO障壁の中で減衰の遅いΔ1バンドに関してハーフメタルであることを明らかにした。以上の結果よりMn3GaのMnやGaを価電子数の多いFeやGeで置換することにより強い垂直磁気異方性と大きなトンネル磁気抵抗比を併せもつ新規なスピントロニクス材料を理論設計することに成功した。
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