研究課題/領域番号 |
25420290
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
和泉 亮 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30223043)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 熱処理 / 絶縁物 / 界面準位 |
研究実績の概要 |
本研究では、HW法によりSi(100)基板に対して窒化処理を行ない、その上にSiCN膜を堆積し、その後電気炉を用いて熱処理を施し、各化学結合、電気的特性の変化を調べることで、SiCN/Si(100)界面およびSiCN膜の膜質への影響を検討した。SiCN膜の堆積方法には、原料ガスにヘキサメチルジシラザンを使用し、ホットワイヤー化学気相堆積(HWCVD)法を用いてSi(100)基板上に堆積を行った。堆積したSiCN膜に対して電気炉を用いてN2雰囲気中で加熱処理を行った。 まず400~1000℃までの温度で10分間処理を行い、その前後の化学組成評価、電気的特性評価を行った。次に400℃の加熱処理を10~240分まで行い、先程と同じ評価を行って、加熱処理による影響の経時変化を調査した。400~1000℃で10分間加熱処理した結果、600℃付近からSi-O結合の割合が増加し、Si-C結合の割合は減少していく傾向が見られた。界面準位密度に関しては、熱処理温度400℃で最も減少しており、熱処理は有効であることがわかった。さらに温度を上げるとその値は増加し、600℃付近で増加は止まり飽和することがわかった。 1000℃で10~240minと変化させて加熱処理をした結果、短時間処理ではSi-N結合の割合が増加し、長時間処理を行なうによりSi-O結合の割合が増加する傾向が見られた。さらに熱処理を施すことで、酸化が顕著になりSi-O結合の割合が増加した。界面準位密度に関しては、熱処理を施すことにより減少し、60minで最小値を示し、その後増加する傾向が見られた。 SiCN/Si(100)に対して熱処理を施すことで電気的特性は向上することが明らかとなった。またその条件は、処理温度400℃、処理時間60minで行なうことで最も減少することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
装置の立ち上げおよびSi基板に対する表面改質、SiCN堆積条件の検討に時間を要してしまったことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
現在進めているSi基板に対する表面改質およびSiCN膜の堆積条件の最適化を大急ぎで完了させる。その後、Si基板と同様にSiC基板に対する表面改質およびSiCN膜の堆積条件の最適化を行う。研究の進捗によっては最終目的の変更も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は装置の復旧を中心に消費してしまった関係で予定された実験ための消耗品の購入を行わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度予定した実験のための消耗品を購入する。
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