研究課題/領域番号 |
25420291
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
西尾 光弘 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60109220)
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研究分担者 |
田中 徹 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20325591)
齊藤 勝彦 佐賀大学, シンクロトロン光応用研究センター, 助教 (40380795)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Zn1-xMgxTe1-ySey 4元混晶 / ヘテロ接合 / 純緑色LED / 組成制御 / 結晶評価 / 有機金属気相成長 |
研究概要 |
光の三原色の一つであることから社会的な要求が大きいにも関わらず波長550nm付近の純緑色については,効率が極端に低いことから,LEDの世界ではグリーンギャップと呼ばれ,克服すべき課題となっている。これまで原料不足による高騰といった懸念がなく,原材料が安価で結晶育成が容易なZnTeに注目して,独自に開発した拡散制御層を用いたAl熱拡散技術によるホモ接合型のLEDを作製し, 市販のGaPと同レベルの発光効率を実証した。そこで,本研究ではZnTeとZn1-xMgxTe1-ySey4元混晶との組み合わせによる格子整合型ヘテロ構造のZnTe系純緑色発光素子を取り上げ,純緑色発光の高効率化を目的とした。平成25年度では,まず主として有機金属化学気相成長法を用いて,基板温度,Se,Mgの原料供給量などの成長条件を変えて主としてZnTe(100)面上にZn1-xMgxTe1-ySey 4元混晶のエピ膜を作製し,MgとTe,Seとの気相反応の軽減化してMg含有量の低下が生じない成長条件を探究し,SeおよびMgの組成制御性,結晶性, バンドギャップ,ラマン分光スペクトル,フォトルミネッセンススペクトルの成長条件依存性を明らかにした。同時にZnTeとの格子整合可能なヘテロ接合の成長条件を確立した。また,ZnTeやZn1-xMgxTeにおいて有効であったTDMAPをp型ドーパントとして用いて,ド-パント供給量を変えてフォトルミネッセンススペクトルの変化を調べることにより,Zn1-xMgxSe1-yTeyエピ膜への燐ド-ピングに成功し,ド-ピング量の最適化に関する知見を得た。更に,Zn1-xMgxSyTeyの膜厚,表面粗さに関する各種成長条件依存性を明らかにでき,シングルヘテロ構造,ダブルヘテロ構造のLED化につながる有益な情報を収集できた。また,ヘテロ構造までには至らなかったが, n型側から光を取り出すようにAl電極を極薄膜化した発光素子を作製し,性能評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
建物の改修工事後の引っ越して装置の整備等を進めていたことや一部の装置が新しくしたことなどに伴って,実験時間の大幅な制約が生じたなど,当初予想できない事態などがあり(1)までに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
最善を尽くすよう努力していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
建物の改修工事後の引越に伴う装置の整備等や一部を新規装置にするために時間を大幅に費やしたため,実験に直接かかわる物品費や出張費が当初計画を縮小したため。 次年度は、エピ膜の膜厚制御性を高めるために装置の自動運転化や種々の物性評価なども含めて、実験時間を大幅に増やす予定であるので、これに伴う物品費は増やす予定である。また、平成25年度は国内の各種の会議発表にとどめたが、次年度は欧州で開催される国際会議での成果報告も予定している。
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