研究課題/領域番号 |
25420296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
三宅 弘晃 東京都市大学, 工学部, 准教授 (60421864)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 帯電計測 / 宇宙環境 / 放射線 / PEA法 / 圧力波 / 半導体 |
研究概要 |
①PN接合面を作成していない、加工前のSi基板を用いた電圧印加時における空乏層厚などの基本的物性調査の実施について 加工前のSi基板に±200Vまでの直流で案圧を印加し、その際のV-I特性を取得した。さらに、その直流電圧に重畳して100Vのnsオーダーのパルス電圧を印加し、Si基板から発生したパルス静電応力による圧力波検出する事が可能か試験を実施した。その結果、Si基板からの圧力波発生が確認され、通常の直流電圧を印加した際には通常の絶縁体試料と比較し、百倍以上の出力信号が確認された。本結果より、圧電素子と同様に圧力波検出素子として、Si基板を用いる事が出来るという可能性を得る事が出来た。 ②PN接合素子を作成、および圧力波入力試験の実施について これまでに昨年度までに作成をおおなってきた半導体センサ素子について、試作治具の作成を実施した。現在FID社の200-1000psのパルス高電圧を発生可能なpsパルスジェネレータを用いて、0.7nsのパルス電圧を当研究室で製膜した1umの圧電素子に入力することで、約0.7nsの極短時間のパルス圧力波を発生させることに成功した。その極短時間パルス圧力波を、試作した計測治具を用いて試作半導体素子に入力し、現在圧力波感度検証試験を実施している。尚、本件が現在も進行形である理由は、FID社のパルスジェネレータについては、当研究室への導入が先方側の都合により予定より、推して当研究室に導入された為である。 また本研究で開発した素子は、最終的には衛星に搭載しパルス静電応力法(PEA法)を用いて帯電測定を行うための圧力波センサ素子として用いる予定である。そこで、放射線を衛星材料に照射した際にどのような信号が得られるか、本センサの為の比較校正データの取得試験も、既存のPEA法の測定装置を用いて実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①PN接合面を作成していない、加工前のSi基板を用いた電圧印加時における空乏層厚などの基本的物性調査の実施について、加工前のSi基板に±200Vまでの直流で案圧を印加し、その際のV-I特性を取得し、さらには直流電圧にパルス電圧を重畳し印加した試験により、Si基板から高強度なパルス圧力波の発生が確認できた。このことから、PN接合への加工前のSi基板でもパルス圧力波を検出するための基礎物性を調査することが出来た。 ②さらに、本試験で必要な測定治具の開発も進み、これまでに作成したPN接合素子について、圧力波入力試験も順次実施をしている。さらには、次年度へ向けての測定治具の課題も明らかにでき、既に改修設計も終了しており、次年度にすぐに製作に取り掛かることが出来る。 以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
①PN接合素子を作成、および圧力波入力試験の実施について 前年度から引き続き、PN接合素子の圧力波検出検証試験を実施する。今年度は、まず昨年度までに開発・作製を行った圧力波検出のための試験治具について改良を実施する。圧力波入力試験をする際に、入力する圧力波の時間幅を変化させることにより、検出時間分解能を確認することが出来る。これには圧力波検出検証治具の圧力波発生部に設置した圧電素子を厚さの異なるものに変更をする必要がある。しかしながら、初期に作成した試験治具では圧電素子の設置が簡易に行える方式にはなっておらず、圧電素子のセッティングと換装に非常に時間と手間がかかる。そこで、試験治具の圧力波発生部を改良し、圧電素子を設置し易いように改良をし、かつ圧力波発生部も複数作成をすることにより、その部分を変えるだけで入力圧力波の時間幅の変更が容易にできるように改修し、圧力波検出検証試験を実施する。 ②加工前のSi基板を用いた電圧印加時における空乏層厚などの基本的物性調査の実施について 昨年度までの成果により、圧力波検出素子として通常のSi基板でも使用できる可能性があること確認した。本年度はPN接合素子のドープ濃度の調整等を実施する前に、Si基板における圧力検出試験を引き続き実施するものとする。具体的には、①で用いた試験治具により、圧力波を直流電圧を印加した状態のSi基板に入力し、圧力波に対してどの程度感度があるか確認を実施していく。また、別件の研究によりSi基板に電子線を照射した際に非常に多量の電荷が蓄積し、部分的に圧電素子の分極構造に近い状況にある事が判明した。そこで今年度は、電子線を照射したSi基板においても、①の試験等同様に圧力波に対して検出感度を有しているか、圧力波検出試験も実施する。 これらの試験を実施したうえで、PN接合素子のドープ濃度の調整等やMOS構造素子の検討を行っていく。
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