研究課題/領域番号 |
25420302
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
塚本 武彦 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (10217284)
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研究分担者 |
及川 大 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 助教 (40707808)
杉浦 藤虎 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 教授 (70206407)
室谷 英彰 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 講師 (20612906)
安藤 浩哉 豊田工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (30212674)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ビスマス系超電導体 / Melt-Casting法 / 臨界電流 / クエンチ特性 / 限流器 |
研究概要 |
これまでの成果を元に,平成25年度中に以下の研究成果を得ている。 (1)[様々な形状をもつバルク超電導体の作製] 硫酸ストロンチウムの添加が有効であるなど,これまでの研究結果をもとに限流器の母材となる短尺の棒状試料をMelt-Casting(溶融鋳込成形)法Bi2212バルク超電導体で作製した。作製には小型電気炉を用い,試料の結晶構造はX線回折装置(現有設備)で確定した。また,試料組成は軽元素対応X線波長分散型元素分析装置で解析した。 (2)[液体窒素温度における試料の臨界電流の解析] 試料形状が円柱または矩形の場合の臨界電流値を現有の測定システムで調べた。その結果をもとに,臨界電流値が70A(臨界電流密度200A/cm2)程度を示す試料の作製条件をほぼ確定した。交流特性を測定するために,30~60A程度の臨界電流値をもつMelt-Casting 法試料を作製した。また,試料電圧Vの電流Iに対する立ち上がりの度合いを示すn値が13以上の試料を作製することに成功した。 (3)[交流インピーダンスの解析] 申請設備のケミカルインピーダンスメータを購入し,室温における試料の交流インピーダンスを測定した。試料に交流電流を通電した場合はインダクタンス成分の影響を大きく受けるので,特に焼結条件・試料形状とインダクタンスの大きさの関係を調べた。また,事故電流を制御するための目安となる室温時の抵抗値を大きくするための作製条件を調べた。 (4)[クエンチ現象の基礎解析]簡易型任意波形発生器・交流アンプ(バイポーラ電源)・メモリーハイコーダと高性能直流アンプを使って,正弦波など基本的な波形をもつ大電流をMelt-Casting法Bi2212バルク超電導体に通電し,超電導状態から常伝導状態に転移するときの特性であるクエンチ特性を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電力系統システムに求められている限流器をコストの安い方法で開発するため,超電導体のクエンチ現象を利用して電力機器に流れる事故電流の制御を目指した。 まず,Melt-Casting法(融点以上の温度で一度液体状にした後に,型で固める方法)によって,臨界電流値をほぼコントロールしたBi2212バルク超電導体を作製することができた。また,作製した試料の導電特性を明らかにした。具体的には,炭酸カリウムの添加が臨界電流密度向上に有効であることを明らかにした。また,13以上のn値をもつ試料の作製に成功している。これらによって,クエンチ現象を解析するための試料の作製方法は確定できている。 さらに,臨界電流を超える正弦波電流を試料に通電した時の,クエンチ現象の解析もすでに行っているため,研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
導電特性を向上させるための硫酸ストロンチウムや炭酸カリウムなどの添加条件を確定する。 任意波形発生器とバイポーラ電源を使って,雷や地落事故などによって電力系統に発生する事故電流の電流波形を再現させるための電源システムを構築する。その後,この電源によって発生させた擬似事故電流をMelt-Casting法Bi2212バルク超電導体に通電した時の高抵抗が発生するまでの時間および再び超電導状態に回復するまでの時間をメモリーハイコーダで解析する。その結果から高速で抵抗が発生するための条件などを明らかにする。 昨年度および今年度の7月までに得られた成果を8月にアメリカで開催されるApplied Superconductivity Conference 2014で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
3月に開催された学会に参加するための旅費が当初の見積りより少なかったため。 金額が小さいため,消耗品を購入する予定である。
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