研究課題/領域番号 |
25420309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齊藤 晋聖 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (20333627)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 空間分割多重 / マルチコアファイバ / 数モードファイバ |
研究概要 |
光ファイバ1本当たりのコアが一つだけの従来のシングルコア単一モード光ファイバでは、耐非線形性、耐フューズ性、および伝送帯域の制限から、近い将来に伝送容量の限界に突き当たることが予想されている。本研究では、こうしたシングルコア単一モード光ファイバの限界を打ち破る方法として、1本の光ファイバに多数のコアを収容したマルチコアファイバ技術と、一つのコアの中を伝搬する複数の固有モードを利用したモード多重伝送技術を組み合わせることにより、伝送容量の飛躍的な拡大を可能にする空間多重伝送技術のための基盤技術を確立することを目的として研究を進めた。 平成25年度の研究では、まず、マルチコアファイバと数モードファイバを組み合わせた数モードマルチコアファイバにおけるコア間クロストークを高精度に評価可能な理論を構築し、高次モード間のクロストーク特性が基本モード間のクロストーク特性に比べて30dB以上劣化する場合があることを明らかにした。また、伝送路中でのクロストークを低減しつつ、各モードの実効的な断面積(Aeff)をどこまで大きくできるかを詳細に検討し、2種類の異なる伝搬定数を有するコアを適切にクラッド内に配置することにより、従来型のシングルコア単一モード光ファイバに比べて20倍以上の空間多重度を有する大Aeff型数モードマルチコアファイバの設計が可能であることを明らかにした。さらに、モード多重伝送に関しては、低曲げ損失条件を満足しつつ、2つの空間モード(LP01モード、LP11モード)、および3つの空間モード(LP01モード、LP11モード、LP21モード)のみを実効的にサポートする数モードファイバの具体的なファイバパラメータを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数モードマルチコアファイバによる伝送容量の飛躍的な拡大へ向けて、当初の計画通りに研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
マルチコアファイバ伝送に関しては、限られたサイズのクラッド領域に配置できるコア数をさらに拡大するとともに、一つのコア内で利用できるモード数を拡大することにより、空間多重度のさらなる増大を目指す。コア間クロストークの低減と空間多重効率の向上、およびモード間群遅延時間差の低減の両立を可能とする新規の数モードマルチコアファイバ構造を探索するとともに、実験結果を設計に反映させることにより、実現限界を考慮に入れた数モードマルチコアファイバの極限性能を明らかにする。 数モードファイバ伝送に関しては、それぞれの空間モードを高効率、かつ低損失で合分波可能な平面導波路型モード合分波器の設計指針を明らかにし、モード間消光比特性の優れた導波路型モード合分波器の利用モード数の拡大を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究は3年間の研究計画であるため。 使用残額は間接経費の一部であり、次年度以降の研究における間接経費として使用予定である。
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