非侵襲な血中グルコース濃度(血糖値)測定を目指し,フーリエ変換赤外分光器(FTIR)および赤外光伝送用中空光ファイバ,減衰全反射(ATR)プリズムを組み合わせたリモート分光システムの開発を行った. 試料への接触面の大きい多重反射型ATRプリズムの導入により,プリズム押付圧力の安定化および測定感度の大幅な向上を達成した.口唇粘膜を対象部位として,複数の被験者について糖負荷試験や通常の摂食前後のスペクトルを追跡し,その大きさの変化が実際の血糖値の推移に追随することを確認した.グルコースの吸収ピーク強度と,採血法による血糖値との相関では,全ての測定点で誤差15%以下となり,本手法の有効性を示した.
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