研究課題/領域番号 |
25420313
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石鍋 隆宏 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30361132)
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研究分担者 |
藤掛 英夫 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20643331)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 液晶ディスプレイ / フレキシブルディスプレイ / コレステリックブルー相 / ポリマー壁 / 配向安定化 / 接合スペーサー |
研究概要 |
本研究は紫外線のパターン露光による液晶性モノマーの光重合相分離により、ブルー相液晶内にポリマー壁を形成し、それを用いてブルー相の分子配向を広い温度範囲において安定化する手法を確立すると共に、ポリマー壁を上下プラスチック基板の接合スペーサーとして応用することで基板間隔を安定化し、高品位フレキシブル液晶ディスプレイの基盤技術を確立することを目的とし、以下の項目について検討を行った。 1. ブルー相液晶安定化に向けた材料、重合条件の探索 液晶材料としてRDP-A1105BPA、液晶性モノマーとして二官能性モノマーDIC-Aおよび単官能性モノマーDIC-Cを用い、モノマー濃度10w%、紫外線強度4mW/cm2、照射時間20分の条件の下、紫外線露光を行った。この結果、単官能性モノマーでは、室温にてコレステリック相が生じ配向安定化ができず、ブルー相の室温配向安定化には二官能液晶性モノマーが有効であることを確認した。 2. ブルー相液晶内へのポリマー壁の形成 アルミマスクを用いた紫外線のパターン露光によりポリマー壁の形成を行った。ブルー相液晶の配向安定化に用いた条件で紫外線露光を行った場合、ポリマー壁は形成されず、濃度を14w%、紫外線強度を43mW/cm2とすることでブルー相液晶内におけるポリマー壁の形成に成功した。これはブルー相の配向安定化に必要な条件ではポリマーの析出に必要なモノマー量と紫外線強度が十分ではなく、壁構造に併せたモノマー濃度および紫外線強度の最適化が必要であることを確認した。また、ポリマー壁の形成と共にアルミマスクによる紫外線未照射領域において、ポリマーのネットワーク構造が形成され、ブルー相液晶の配向が室温においても安定化できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
25年度は、(1)ブルー相液晶安定化に向けた材料、重合条件の探索、および(2)ブルー相液晶内へのポリマー壁の形成について検討を行い、この結果、ブルー相液晶の配向安定化に必要な、モノマー濃度、重合温度、紫外線強度の最適条件を明確化した。また、アルミマスクを用いた紫外線のパターン露光により、ブルー相液晶内にはじめてポリマー壁構造の形成に成功すると共に、このために必要となるモノマーの条件および壁の形成メカニズムを明らかにした。更に、マスク領域に、ポリマーのネットワーク構造が形成され、これによりマスク領域のブルー相液晶の配向が安定化されることを見いだした。本成果は26年度に検討を予定していた項目の一部であり、以上のことから、本研究は当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は(1)ポリマー壁を用いたブルー相液晶の安定化、(2)ポリマー壁の分子配向制御について検討を行い、ポリマー壁を用いたブルー相液晶の配向安定化に必要な条件および、そのメカニズムの解明、およびポリマー壁の分子配向制御による、デバイスのコントラスト比の向上を達成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い、発生した未使用額であり、平成26年度請求額とあわせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。 次年度使用額は、ブルー相液晶材料の購入費として使用する予定である。分子配向の制御性が高い材料を用いることで、ブルー相液晶およびポリマー壁構造の制御を向上させ、効率的に研究を進める。
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