研究課題
本研究では、光通信帯域におけるメタマテリアルによる動的制御を基に,小型かつ高性能のマッハツェンダー変調器の研究を展開した。以下、具体的な研究経過・成果を述べる。まず、化合物半導体のキャリア密度を制御することで光通信帯域におけるメタマテリアルの動的制御を行った。制御の概要であるが、化合物半導体基板上に浅い溝を掘り、その内部に金属微細共振器を作製した。ここで、デバイス上部からゲート電圧を印加することで、化合物半導体内に伝導キャリアを生成し、それに伴って金属共振器のギャップ容量を変化させることができる。この状況下では、ゲート電圧印加によるキャリアがあるときの比透磁率は通常の物質と同じく1に固定され、キャリアがないときの比透磁率は1以外の値を取ることになる。以上の議論にもとづいて、実際に構造を設計した後、実際に半導体基板上に作製した微細共振器アレイの評価を行った。基礎データとしてフーリエ変換型赤外分光を用いて測定を行った。通信波長である1.5μm帯の信号光を試料に入射し、ゲート電圧印加直前および直後の透過・反射強度を測定することで、キャリア生成によってメタマテリアルの磁気応答が変化する様子を観測することができた。次に、本技術を用いた「透磁率制御によるメタマテリアル装荷型変調器」の実現に成功した。本素子では、マッハツェンダー干渉器の各アームに前述の特殊な微細共振器(メタマテリアル)が一列に埋め込まれた構造となっている。素子上部からゲート電圧をかけ、アーム部の共振周波数をシフトさせる(透磁率を変化させる)ことで、強度変調を行った。透磁率を制御することで、本来屈折率の可変幅が狭いInP系デバイス内において大きな屈折率変化を持たせることが可能となり、結果として、素子長200μmという小型変調器において、2-12Vの電圧印加で約7.0dBの消光比を得ることに成功した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 謝辞記載あり 12件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 2件)
IEEE Journal Quantum Electronics
巻: 51 ページ: 6100110
10.1109/JQE.2015.2389853
Journal of Laser Micro/Nanoengineering
巻: 10 ページ: 48-52
10.2961/jlmn.2015.01.0010
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 8985
10.1038/srep08985
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 54 ページ: 042701
10.7567/JJAP.54.042701
巻: 54 ページ: 04DG04
10.7567/JJAP.54.04DG04
Optics Express
巻: 23 ページ: 7771-7778
10.1364/OE.23.007771
巻: 10 ページ: 148-153
10.2961/jlmn.2015.02.0007
IEEE J. Quantum Electron.
巻: 50 ページ: 321-326
10.1109/JQE.2014.2309700
Applied Physics Express
巻: 7 ページ: 072701
10.7567/APEX.7.072701
Journal of Selected Topics in Quantum Electronics
巻: 20 ページ: 8202308
10.1109/JSTQE.2014.2300058
Journal of the Optical Society of America B
巻: 31 ページ: 2908-2913
10.1364/JOSAB.31.002908
巻: 53 ページ: 118003
10.7567/JJAP.53.118003