研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的であるジャイロデバイス(ジャイロトロン、ジャイロBWO)における、共振器に入射する電子ビームのクオリティが発振に及ぼす影響の解明に対して平成25年度は、(1)発振計算コードへの電子の速度拡がり、位置拡がりの効果の取り入れ、(2)ジャイロトロンをコイルに対して0.1mmの精度で位置調整できる機能をもったジャイロトロン用台座の設計・製作、(3)(2)の台座をGyrotron FU CW GIIIに適用した出力改善実験、(4)Gyrotron FU CW GIA用の新規電子銃の設計、(5)Gyrotron FU CW GIAの旧電子銃を用いた実験、(6)ジャイロBWOの設計、を行った。共振器に入射する電子群の速度・位置分布に大きな拡がりがあると発振効率が低下し、発振出力が低下する。このことを定量的に評価するために、この効果を取り入れるよう計算コードを拡張した。設置時にジャイロトロンとコイルの軸ずれがあると、それだけで、共振器に入射する電子の軸からの距離(位置)に拡がりが生じる。拡張した計算コードをGyrotron FU CW GIIIの軸ずれの問題に適用し、軸ずれがあるときの発振出力の計算を行った。その結果、電子ビーム中心が共振器軸中心と0.3 mmずれると出力が20%まで低下した。このため、0.1 mmの単位でジャイロトロン位置を調整できる台座を製作した。この台座でFU CW GIII位置を調整することで、計算で期待される発振出力を実現した。この結果を学術論文として発表した。また、Gyrotron FU CW GIA用に、共振器で電子の速度拡がりが10 %以下を達成する電子銃の設計を行った。次年度この電子銃を用いて行う実験の参照実験として、現在の電子銃(速度拡がり~30 %)を用いた実験を行った。さらに、周波数を連続的に変化できるジャイロBWOの設計を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
当初計画で平成25年度に行う予定の課題のうち、拡張した計算コードを用いた電子ビームクオリティと発振周波数の関係を除いた課題はすべて達成した。また、平成26年度に行う予定であったジャイロトロンとコイル間の軸ずれの理論計算及び、Gyrotron FU CW GIIIにおいて軸ずれ時の発振特性の実験を前倒しに行い、すでに、この課題について学術論文を発表した。
平成25年度に設計した電子銃を実際に製作し、Gyrotron FU CW GIAに搭載して、電子銃改良前後のジャイロトロンの発振特性の差を実験的に調べる。また、この実験条件に相当する理論計算を行うことで、電子ビームのクオリティがジャイロトロン発振に及ぼす影響について明らかにする。また、ジャイロBWOにおいてジャイロトロン軸ずれによる発振出力低下が、ジャイロトロンおいてのそれとどのように異なるかを、理論、実験両面から考察し、明らかにする。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (15件) (うち招待講演 1件)
Journal of Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves
巻: 35 ページ: 169-178
10.1007/s10762-014-0048-1
日本赤外線学会誌
巻: 23 ページ: 93-99
Plasma and Fusion Research
巻: 8 ページ: 1205165
10.1585/pfr.8.1205165