研究課題
原子層堆積法(ALD)を用いた各種絶縁膜の膜形成プロセスの検討を実施し、絶縁膜/半導体界面評価の手段としてMISゲート構造HEMTを試作した。まず、ゲート絶縁膜と表面保護膜とが同一膜で構成されたMIS-HEMTを試作した。MIS絶縁膜については、Al2O3膜を単層で用いると、電流コラプス抑制に有効であるがゲートリーク電流が大きくなることが判明した。一方、ZrO2膜を単層で用いると、逆に電流コラプスが大きくゲートリーク電流が抑制されることが判明した。上記の結果から、Al2O3膜とZrO2膜の複合膜が有効であると考えてMIS-HEMTを試作したところ、電流コラプスとゲートリーク電流の両方の抑制に有効であることが判明した。H28年度に入って酸素源としてオゾン(O3)の使用が可能となったため、ゲート絶縁膜としてオゾン(O3)を用いたALD堆積を試みた。その結果、Al2O3膜単層においても電流コラプスとゲートリーク電流の両方の抑制に極めて有効であることが判明した。表面保護膜については、スパッタ法を用いてSiN膜、SiO2膜、SiON膜を検討した。3種の膜の中で、SiNまたはSiON膜が耐圧特性に優れ、かつ電流コラプスの抑制にも優れることを明らかにした。また、酸素プラズマ処理や高圧水蒸気熱処理(HPWVA)がHEMTの電流コラプスの抑制に極めて有効であることを確認した。以上の検討から、AlGaN/GaN MIS-HEMTのゲート絶縁膜にはO3を酸素原料に用いたALD-Al2O3膜を、また表面保護膜にはスパッタ堆積のSiNまたはSiON膜が優れているという結論が導かれた。最後に、ゲート絶縁膜と表面保護膜を独立に最適化したMIS-HEMTを試作し、しきい値電圧のヒステリシスが0.1V程度と小さく、耐圧2000Vを超える優れたデバイス特性を確認した。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 9件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
IEEE Trans. Electron Devices
巻: 62 ページ: 2423-2428
10.1109/TED.2015.2440442
Appl. Phys. Express
巻: 8 ページ: 111001 1-4
10.7567/APEX.8.111001
http://fuee.u-fukui.ac.jp/~kuzuhara/index.html