研究課題
本研究ではSiCによる耐放射線性の高い極限環境エレクトロニクスの研究を進めている。平成27年度は試作した4H-SiC nMOSFETsの放射線(Co60ガンマ線)照射実験と高温動作実験を行った。さらにnMOSインバータ、Pseudo-CMOSインバータ回路を試作し、その動作に成功した。これらにより4H-SiC MOSFETs集積回路による極限環境エレクトロニクスの可能性を拓いた。試作した4H-SiC nMOSFETsは、Asドープ・ソース/ドレイン(S/D)、Nb/Niシリサイド・S/Dオーミックコンタクト電極、ドライ・ゲート熱酸化膜により形成しており、プロセスの最高温度はS/D活性化アニール時の1800℃である。放射線(Co60ガンマ線)照射実験は、国立研究開発法人日本原子力研究機構(現・国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)のCo60ガンマ線照射施設で実施した。照射線量は113 Mrad(1.13MGy)である。電子電界移動度の変化は酸化膜10 nmの場合は、8%にとどまるが、酸化膜20 nmの場合、照射による移動度の増加が確認され、113Mrad照射後26%の増加が確認された。しきい値電圧は113Mrad照射後の6%の低下程度であり、極めて高い放射線耐性を示した。450℃までの高温動作特性の評価を行った。実験はスウェーデン王立工科大学にて行った。試作した4H-SiC nMOSFETsの450℃での超高温動作を実証した。試作した4H-SiC nMOSインバータ、Pseudo-CMOSインバータ回路においては、室温においての評価を行った。特にPseudo-CMOSインバータ回路は高い出力電圧スウィングを持ち、デジタル集積回路のロジックゲートとして十分に有効な特性をもっていることを実証した。
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Mat. Sci. Forum
巻: 858 ページ: 864-867
10.4028/www.scientific.net/MSF.858.864
巻: 858 ページ: 573-576
10.4028/www.scientific.net/MSF.858.573
巻: 858 ページ: 549-552
10.4028/www.scientific.net/MSF.858.549