研究課題/領域番号 |
25420333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山本 節夫 山口大学, 理工学研究科, 教授 (30182629)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 非可逆回路素子 / 非相反回路素子 / アイソレータ / サーキュレータ / 小型化 / 低背化 |
研究概要 |
強磁性共鳴近傍を動作点とし超小型化が可能なことを特徴とする非可逆回路素子(別名、アイソレータ。電磁波の進行を一方向にのみ許すデバイス)に関して、マルチバンド化の可能性を追求することを最終目的としており、平成25年度は以下の研究成果を得た。 【1】申請者提案のアイソレータについて、マルチバンド化を実現するための基本的な設計理論の構築に向けた研究を開始した。その結果、設計の際には①まず始めに動作周波数を設定し、YIGフェライトへ印加するバイアス磁場を決定する、②非可逆特性を確認の後、伝送線路とのインピーダンスマッチングを行う、③ボトムマウント型マイクロストリップライン構造の場合、基板厚みを変化させると、マイクロストリップラインの特性インピーダンスも変化してしまうので、マイクロストリップラインの線路幅を調整し,特性インピーダンスを50オームにすればよい、④一方、トップマウント型アイソレータでは,誘電体基板を挟まずにマイクロストリップラインを形成しているため、YIGフェライト-Yジャンクション線路間に空隙を設けることで調整を行えばよい、などのことがわかった。 【2】マルチバンド化の実現に必要なバイアス磁場可変機機構について、有限要素法に基づいた磁界シミュレーションを活用して可変メカニズムの設計を行うとともに、磁気回路のパーミアンス変化を原理とする方式について、実験で磁場の可変を確認した。 【3】第4世代移動通信システム(IMT-Advanced)用使用周波数帯である800MHz帯、2GHz帯、4GHz帯において、挿入損失が0.8dB以下、アイソレーション10dB以上の良好な伝送特性の素子を設計できた。前述【2】の磁場可変機構との組み合わせにより2つのバンドで使用できる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第4世代移動通信システム(IMT-Advanced)用使用周波数帯である800MHz帯、2GHz帯、4GHz帯において、挿入損失が0.8dB以下、アイソレーション10dB以上の良好な伝送特性の得られる素子について、素子サイズの影響など概ね予定した研究成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
研究が順調に進捗していることから、今後も予定通り進める。 すなわち、平成26年度には、本提案原理で動作し、素子サイズが2mm×2mm×0.5mm以下で、IMT-Advancedシステムでの3つのバンドをカバーするトリプルバンド対応のアイソレータを設計し、素子試作による実証を行う。また、平成27年度には、本提案アイソレータのマルチバンド化の設計指針を確立する。
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