研究課題/領域番号 |
25420335
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西本 昌彦 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (60198520)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 地中レーダ / 地中探査 / 非破壊検査 |
研究概要 |
本研究は,超広帯域レーダを用いたセンシング技術の性能向上を目的として,確率的手法を用いたレーダ信号処理法の開発を行い,その埋設物識別や構造物非破壊診断への応用を目指すものである.開発する手法では,二次元空間におけるレーダ信号の状態遷移確率モデルを構築し,高い識別性能の実現を目指す.具体的応用として,人道的地雷除去技術,およびコンクリート構造物の非破壊検査技術への応用を想定している.初年度は信号処理技術の理論的な面を中心として,レーダ信号からターゲット応答を精度よく抽出する方法.および識別・診断のための特徴量について検討を行った.概要と得られた結果について以下に示す. (1) 埋設物からのターゲット応答は,地表面からの強い反射応答や土壌の不均質性によって乱されるため,ターゲット応答の抽出は容易ではない.本研究では,これまで提案してきた位相情報を考慮したMatching Pursuitsの手法を適用し,計測信号の中から埋設物応答波形を分離する方法について検討を行った.また,屋内実験により測定した地中埋設物からの応答データを用いて,抽出の有効性について確認した.その結果,均質な土壌中の埋設物からの応答は精度よく抽出できる見通しが得られた. (2) 本研究では,時間領域と周波数領域における特徴量について検討を行っている.また,空間上で連続的に取得したデータの情報を有効に利用するため,特徴量の状態遷移確率モデルを構築し,特徴量の系列情報を有効に利用する.特徴量については現在検討中であり,具体的な特徴量の詳細については次年度に確定予定である.状態遷移確率モデルについては今年度定式化を開始し,現在検討を進めている段階である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験室のある建物の改修工事が行われることになったため,実験装置に試作と測定実験に遅れが生じている.また,特徴量の検討において,精度の評価に時間がかかっており,若干遅れ気味である.このように当初の予定より多少遅れている部分もあるが,全体として遅れは軽微であり,次年度以降は順調に進む見込みである.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の結果を基に,引き続き特徴量の提案と精度の検討を行なうとともに,系列データを用いるための状態遷移確率モデルの構築,および識別アルゴリズムについて検討を進める.特徴量としては雑音の影響を受けにくい位相情報を利用した特徴量を提案する.状態遷移モデルとしては隠れマルコフモデルを用い,系列情報を有効に利用する.また,これと並行してシミュレーショによる定量的評価のための計算機コードの開発を行う.さらに,計測実験の効率化と精度の向上を図るため,計測用アレイアンテナセンサの設計と試作と性能評価を行なう予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
実験室のある建物が改修工事となったため,25年度後半(約7ヶ月)は実験装置の試作と測定実験は一時中止せざるを得なくなった.このため,当初予定していた試作と実験に関係する予算はやむを得ず次年度に繰り越し,26年度に執行することとした. 25年度後半に予定していた装置の試作と測定実験は26年度の前半に実施予定である.繰り越した予算(約70万円)はそのままこれに充当する.
|