報告者は、半導体励起固体(DPSS)連続波(CW)レ―ザを使った代表者の独自開発である連続波レーザラテラル結晶化(CLC)をガラス上の低温poly-Si TFTに応用することにより、移動度300 cm2/Vsを再現性良く実現している。さらに、ガラス上TFTの付加価値を高めるために、4端子(4T)化に注目した。コントロールゲート電圧(VCG)により、閾値電圧(Vth)の制御が可能なことから、4T TFTは次世代TFTとして期待される。そこで、CLC技術と4T技術を融合させ、自己整合平面型4Tメタルダブルゲート(MeDG) CLC低温poly-Si (low temperature poly-Si: LTPS) TFTを550℃プロセスでガラス基板上に実現した。トップ/ボトムのゲートSiO2膜はそれぞれ75 nm/150 nmである。また、ボトムメタルゲートはCMPを用いてガラスに埋め込まれている。 Vthの制御性を示すγ値(ΔVth/ΔVCG)はガラス上に低温プロセスで作製したpoly-Si TFTであるにもかかわらず、単結晶SiのMOSFETに期待される理論値とほぼ同じ値を示した。この優れた特性を利用してE/Dインバータを作製し、Vth制御により2.0 (V)動作を実現した。代表者はp-chに関しても自己整合平面型4T MeDG CLC LTPS TFTを開発し、高いVthの制御性を実現した。このようなCLC poly-Siを利用したLTPS TFTの性能は世界トップレベルを有する。 正孔に関しては、 Si(μh=500 cm2/Vs)よりもGe(μh=1800 cm2/Vs)の方が圧倒的に優れている。代表者は、poly-Si TFTの技術を低温poly-Ge (Low Temperature poly-Ge:LTPG) TFTに応用し、世界ではじめて、上下のメタルゲートの位置合わせに自己整合技術を利用した自己整合平面型MeDG LTPG TFTを開発した。現状では、このpoly-Ge TFTは固相成長によって形成されているが、今後、poly-Ge薄膜の高品質化とTFTの4T化により、高いVth制御性と高いオン電流の実現が期待される。
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