研究課題/領域番号 |
25420351
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中村 守里也 明治大学, 理工学部, 准教授 (40359071)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | クラッド励起 / 励起光合波 / マルチコアファイバ / 光ファイバ通信 |
研究実績の概要 |
これまで、計画していた3つの方式((1)溶融型光ファイバ分岐・結合器の技術を応用する方法。(2)マルチコアファイバ側面の加工によりクラッドへ励起光を入射する方法。(3)レンズ系を用いる方法。)の中で、(1)の方式において顕著な研究の前進が見られたため、特に本方式に注力して検討を進め、目標とするマルチコアEDFA(MC-EDFA)の特性改善のための検討を進めた。内容は下のようなものである。 MC-EDFAの励起において、クラッド励起における励起光の入射方法として、平行したマルチモードファイバ(MMF)からMC-EDFAの第一クラッドへのモード結合を利用した方法を検討しているが、MMFのコア径とMC-EDFAの第一クラッド径を同様に100ミクロンとした場合に98%以上の高い結合効率が得られることが数値シミュレーションにより明らかになった。特にLP11やLP21, LP31の高次モードを使用した場合に、完全結合長が基本モードに比べて大幅に短くなる。ところが、使用するMMFコアとMC-EDFA第一クラッドの屈折率の変化に対し、結合効率が過敏に変化してしまい、現実的なファイバの製造を考えたときに課題となることが明らかになった。これは、100ミクロンという大きな半径を持つ導波路間のモード結合を仮定していることに原因があるものと考えられる。そこで、MMF側のコア半径を半分の50ミクロンとした場合の結合について検討した。その結果、このような異なる半径の導波路においても90%を超える結合効率を実現できる見込みを得た。また、本研究課題の応用についても検討を進め、MC-EDMAを利用したマルチコアファイバ・ネットワークにおけるROF技術について検討を始め、新しいtwo-tone信号の発生方法を提案する成果も得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた3つの方式((1)溶融型光ファイバ分岐・結合器の技術を応用する方法。(2)マルチコアファイバ側面の加工によりクラッドへ励起光を入射する方法。(3)レンズ系を用いる方法。)の中で、(1)方式で顕著な研究の前進が見られているため、当該方式に注力して検討を進めている。その中で、用いる光ファイバの屈折率誤差による特性劣化という新しい問題を明らかにしたが、その反面で実験を行う上での障害ともなった。一方、本課題の発展として、マルチコアファイバの応用面における研究で成果が得られるなどし、全体としておおむね順調に研究は進展した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた多くの知見を基にして、更に特性の改善を試みる。特にMMFコア径とMC-EDFA第一クラッド径が異なる場合についての検討を進める。また、次年度が最終年度となるため、これまでの成果を国際会議で報告する他、国際的な学術雑誌へ投稿し、研究成果をアピールしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
数値計算において大きな成果が得られたため、予定よりも研究予算を効率的に使用することが可能となった。また、本研究課題の発展として、MC-EDFAを利用したマルチコアファイバの応用面における研究も進展したため、最終年度における研究成果を最大化することが可能になると考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度であるため、学会発表のために研究費を使用する他、MC-EDFAの更なる特性改善の検討ために必要な機材に使用する予定である。
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