研究課題/領域番号 |
25420355
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
加藤 茂夫 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00143529)
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研究分担者 |
長谷川 まどか 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80322014)
篠田 一馬 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50639200)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 符号化 / 情報理論 / 情報源符号化 / 通信路符号化 / 算術符号 |
研究実績の概要 |
算術符号は高効率のエントロピー符号化法として知られているが,これを利用した画像符号化システムの実現のためには符号化演算の高速化が必要不可欠である。 算術符号は,シンボルの符号化ごとに算術演算を必要とするため,このことが符号化および復号の実現のネックになっている.本年度は,まず,乗算型算術符号における最大符号化効率を維持したうえで高速化を実現するために,無記憶情報源に対して情報源の拡大処理を導入し, 通報の確率と下位アドレスを計算するために必要となる確率値を保持するテーブルサイズを変化させ,それに伴う演算回数の削減度を調べて高速化の可能性を検討した.実験の結果,提案方式は符号化時間および復号時間を,それぞれ,従来の2値乗算型算術符号の約13/100 および約56/100 まで削減できることを明らかにした.次に,情報源符号化および通信路符号化の統合化について,以下の検討を行った。まず,原Augend領域を,情報源符号化に用いる部分(縮小Augend領域)と通信路符号化に用いる部分(残余Augend領域)とに切り分けるという考え方を考案した。縮小Augend領域と残余Augend領域の比率が情報源符号化効率と誤り検出能力とのトレードオフになることが予想され,このことについて考察を行った。次に,残余Augend領域は原Augend領域中に一様に出現することが必要であることを明らかにし,基礎的な検討を行った。さらに,本研究は情報源符号化と通信路符号化を統合的に扱うものであることから,Augendの占有領域を示す数直線の表現法や残余Augend領域の作成法について考察する必要があり,このための基礎的な検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,情報源符号化と通信路符号化を統合的に扱うことによりデータ圧縮と誤り訂正を同一のプロセスで行う手法について基本的な考え方を明らかにした。また,その基本枠組みは検討済みである。さらに,情報源符号化については,最大符号化効率を維持したうえで高速化を実現する手法を提案し,シミュレーションによりその効果を確認している。以上の点から,研究はおおむね順調に進展しているものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,原Augend領域を情報源符号化に用いる部分(縮小Augend領域)と通信路符号化に用いる部分(残余Augend領域)とに切り分ける手法において,縮小Augend領域と残余Augend領域の比率および情報源符号化効率と誤り検出能力との比率との関連性について定性的・定量的の両者の側面から検討を行う。さらに,符号系列中にバーストおよびランダムの伝送誤りが生じた際,誤りが生じた符号系列を小数点付き数値とみなした場合にそれが数直線上のどのような位置にマッピングされるかを定性的に明らかにし,縮小Augend領域と残余Augend領域の出現位置をどのような位置にすべきか,またそのためには数直線上の点を表す2進小数の表現法をどのようにすべきかなどについて考察を行い,提案方式の総合的な検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度には情報源符号化方式としてテーブル駆動型算術符号の高速化についての検討を行い,良好な結果を得た。その結果は学会論文誌に投稿済みであり,この投稿費に充てる予定であったが,現在は査読中であり,年度内に学会より査読結果の連絡がなかった。そのため準備しておいた投稿費及び別刷費用が未使用になっている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額と翌年度分として請求した助成金とを合わせて研究遂行上必要なPC,タブレット端末,液晶モニタ,ソフトウェア,ハードディスクおよび本科研費による研究成果を発表するのに必要な学会参加,論文投稿のための経費に充てることとしたい。
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