研究課題/領域番号 |
25420361
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
石井 望 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50232236)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 近傍界領域利得 / 距離特性 / 電磁界強度 / シールデッド・ループアンテナ / MHz液剤 |
研究実績の概要 |
昨今無線電力伝送技術が着目され,これまで以上にMHz帯における無線機器の使用が見込まれる.このため,MHz帯において機器が発する電磁界レベルが電波防護指針の規準値を満足することを確認するための測定法の開発が急務である.本研究では,MHz帯において比吸収率(SAR)標準測定を実現するために必要となる液剤中で動作するプローブ構成に関して基本的な検討を行うことを目的とし,(1) 基準アンテナとして液剤中で動作するシールデッド・ループアンテナ(SLA)の試作,(2) 近傍界領域利得測定系を構築,基準アンテナの近傍界利得測定,(3) 基準アンテナの電界・磁界強度の距離特性の関数化について検討する.平成26年度は,主に,13.56MHz, 30MHz動作のSLAについて以下の項目について検討を行った. 1 数値シミュレーションにより近傍界領域利得の距離特性推定の検証を行った.まず,近傍界利得が一定となるループ長の条件について検討を行い,ループ長をほぼ等価波長の1/2の長さに選ぶときに近傍界利得がアンテナ近傍で一定になることを確認した. 2 上記の近傍界領域利得一定となる条件を調べるために,数値シミュレーション(モーメント法)に対して特性モード解析を行い,アンテナ近傍における電界形成についての知見を得た. 3 平成25年度の課題であったSPAの電界・磁界強度の距離特性を遠方界と近傍界領域利得の組合せで対応することについて引き続き検討を行った.その結果,2巻きおよび3巻きの折り返し構造とすることで水槽内で近傍界領域利得が一定になる可能性があることを確認した. 4 6.78MHzにおけるSLA試作検討準備として,液剤,生理食塩水中においてSLAの近傍界利得に関する数値シミュレーションを行い,近傍界利得が一定となるSLA半径が存在することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1 平成26年度は,数値シミュレーションに特性モード解析を導入することで,液剤中でシールデッド・ループアンテナ(SLA)の近傍界領域利得が一定となる物理的な理由(モード形成)について明らかにした点は当初の計画以上の成果であった. 2 平成25年度に問題となった電界・磁界強度の距離特性の推定について,交付申請書作成時点で想定していた遠方界と近傍界領域利得の組合せを利用するためには,SLAの構造を1巻きのループ構造とするのでなく,2巻きあるいは3巻きのループ構造とし,折り返し構造を導入すればよいことを平成26年度に見出した.これらの構造パラメータの最適化が課題として残っている.周波数6.78MHzでのSLAの実現に向けて,上記課題を解決する必要があり,この点で,当初計画以上の進捗ではなく,おおむね順調に進展と自己評価する.
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今後の研究の推進方策 |
1 液剤中で動作する13.56MHz, 30MHzでの2巻きあるいは3巻きSLAの設計法を確立する. 2 生理食塩水中で動作する6.78MHzでのシールデッド・ループアンテナ(SLA)の設計・試作を行う. 3 研究のとりまとめを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度支出分として当該研究にかかわる研究情報収集のための旅費を確保するため
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次年度使用額の使用計画 |
当該研究にかかわる研究情報収集のための旅費として使用する
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