研究課題/領域番号 |
25420362
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西森 健太郎 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90500611)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Very Large MIMO / 干渉除去 / マルチユーザMIMO / Chanel State Information / アナログ・ディジタル融合制御 / フィードバック |
研究実績の概要 |
本研究では,基地局アンテナを多素子化することで,基地局の信号処理の低減および端末側の信号処理負荷をフリーとする多素子基地局アレー(Very Large MIMO)のハードウエア構成法を提案することを目的として検討を進めている.平成26年度は,以下の具体的なハードウエア構成に関する検討を行った. (1)Very Large MIMOでは,素子数が多くなるためどのようにアンテナを配置するかが重要となる.本検討では,ディジタルとアナログの融合制御を考慮した場合に,Very Large MIMOに適したアンテナ構成を明らかにした.その結果,実際に想定される伝搬環境を考慮すると,基地局におけるアンテナ構成は水平方向に広く,垂直方向には数行程度構成するような基地局アンテナ構成が望ましいことを明らかにした. (2)MIMOでは伝搬チャネル応答(CSI)を推定することが必要となるが,これが通信効率の低下に大きな影響を与える.マルチビーム形成をアナログ回路で構成し,ディジタル部ではConstant Modulus Algorithm (CMA) を用いることで,端末からのCSI 推定を不要とするMassive MIMO 構成を提案した.また,計算機シミュレーションにより,信号の到来角度差が狭い場合でも高い伝送特性を得ることを明らかにした. (3)CSI推定による通信効率低下を低減するため,基地局キャリブレーション技術を併用したインプリシットビームフォーミングによるIEEE802.11acにおけるMassive MIMOの伝送効率を明らかにした.16 素子を用いたMU-MIMO 伝送において,キャリブレーションを行うIBF は,CSI フィードバックを適用する手法に対し2倍程度,キャリブレーションを適用しないIBF に対し1.8倍程度のスループット特性改善効果を得ることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
以下の理由より,本研究は当初の計画より進展している.以下にその理由を述べる ・まず,H26年度はVery Large MIMOのハードウエア構成に関する行うことを目的としていた.そのため,H25年度で作成した評価ツールをさらに検討内容に応じて修正するとともに,基地局Very Large MIMOに適したアンテナ構成を定量的に評価することができた.この検討はさらに干渉数や素子数が増大した場合の評価に展開可能である. ・この評価とは別に,マルチビーム形成をアナログ回路で構成し,ディジタル部ではCMAを用いることで,端末からのCSI 推定を不要とするMassive MIMO 構成を提案した.基地局キャリブレーション技術を併用したインプリシットビームフォーミングによるIEEE802.11acにおけるMassive MIMOの伝送効率ツールも作成した.今後はこれらのツールを合体させて,H27年度の早々には通信システムの総合性能を評価することができる ・以上の成果を学会発表および論文化を行った.論文2件,国際会議8件,研究会11件,大会9件といった非常に多くの成果を出すことができ,当初の計画以上に検討が進展できていると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に基づき今後も検討を進める.最終年度であるH27年度では,昨年度までに作成した複数のツール統合し,実際のシステム・伝搬環境での総合的な性能評価を行う.また,研究室で所有するハードウエアを用いて実際のVery Large MIMOの性能評価を行う予定である.これらの検討を通じて,Very Large MIMOで必要となるアンテナ素子数や配置,ハードウエア構成を確定させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度に調達を予定していた,Very Large MIMO用ハードウエアが大学内の予算等で調達できたため,本装置を発注しなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度にかけて,アンテナ制作やハードウエアの改良にH26年度で残った予算を使用する予定である.また,高速計算機を購入し,Very Large MIMOの大規模計算を行う予定である.
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