研究課題/領域番号 |
25420367
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
小林 英雄 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60303749)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | OFDM / 伝送路推定 / 時間軸トレーニング信号 / 最尤法 / 移動通信環境 / OFDMA / MIMO-OFDM / ドップラー変動 |
研究実績の概要 |
平成26年度では,これまでに提案した時間軸トレーニング信号(TS)を用いた伝送路特性推定方式を用いた時間軸等化方式について検討した.提案方式は高速移動通信環境下におけるドップラー変動により発生するチャネル間干渉を補償可能とすることを特徴としている.提案方式では,時間軸トレーニング信号(TS)を用いて推定されたシンボルごとの時間軸インパルス応答を最尤推定法あるいはキュービック補間法を用いて時間サンプルごとのインパルス応答を推定し,これらインパルス応答を用いて受信信号を時間軸等化することを特徴としている.また,本研究プロジェクトの検討事項であるOFDMA通信方式やMIMO-OFDM通信方式で要求される複数回線の効率的な伝送路推定法について提案した.提案方式は,1個の時間軸上のプリアンブル信号を利用して複数の独立した伝送路の時間軸インパルス応答を推定することを特徴としている.最初に,これまでに提案されている周波数軸上で一定間隔に配置されたスキャタードパイロ信号を利用した伝送路推定方式が非ナイキストサンプリングの場合において推定精度が大幅に劣化することを理論的に明らかにした.次に,非ナイキストサンプリングの場合においても高精度な伝送路特性の推定を可能とする時間軸上の受信信号を用いた伝送路推定法を提案した. これら提案方式に対して,移動通信環境下における伝送特性の推定精度を計算機シミュレーションで評価し,提案方式方式の有効性を実証した.また,OFDMA通信方式の上り回線を対象として複数の利用者の伝送路特性と,複数のアンテナを利用するMIMO-OFDM通信方式を対象として複数の送受アンテナ間の伝送路特性を高精度に推定可能とすることを計算機シミュレーション委より実証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度計画では,⑤従来方式と提案方式のPAPR特性の評価比較、⑥伝送効率改善のためのTS信号を間欠的に挿入した場合の伝送路特性推定精度の評価、⑧SC-FDMA運用される複数のユーザ回線の伝送路特性を一括推定する方式の提案、について検討することになっていたが,全ての検討課題についてほぼ解決した.また,当初計画には無かった高速移動通信環境下におけるチャネル間干渉を補償する時間軸等化方式を提案した.提案方式は,平成25年度に提案した時間軸トレーニング信号(TS)を用いた伝送路特性推定方式を活用した方式となっている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクトの最終年度である今年度は,⑦従来方式と提案方式の所要演算処理量の評価比較,⑨非線形増幅器とマルチパスフェージング回線下における提案方式の総合評価、⑩提案方式の実用化に向けた装置構成の具体的な設計法について実施する計画である.⑩の実用化に向けた検討に際して,⑦の検討である提案方式の所要演算量を評価し,従来の周波数軸上の伝送路推定方式の演算量との比較検討を行い提案方式の装置化に向けた検討を行う計画である.⑨の非線形増幅器とマルチパスフェージング回線下における提案方式の総合評価については,既に評価用プログラムは完成しており,各種環境下において特性評価を行う計画である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度では,交付決定額に対して当初計画に従って支出したが,17,764円については次年度への繰り越し額となった.
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次年度使用額の使用計画 |
本研究プロジェクトは,平成27年度が最終年度であることから,本繰り越し額を含めて交付決定額に対して計画的に使用する予定である.
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