研究課題/領域番号 |
25420368
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
乘松 誠司 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (20303886)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 情報通信工学 / 光ファイバ通信 / ファイバ非線形効果 |
研究実績の概要 |
本研究は、光ファイバ通信における大容量化・長距離化に資するものであり、特に近年研究が活発化している光コヒーレント検波方式を対象とする。光ファイバ非線形効果の中でも劣化の主要因となる、自己/相互位相変調効果による当該方式の受ける伝送特性劣化を、受信機において簡易に精度よく補償する方法を開発することを主な目的とする。 研究期間の当初はRP (Regular Perturbation) 法を基礎とし、それに対する波形の発散防止法の開発を進める。また、WDMを行わない1チャネル系を想定する。光コヒーレント検波に対する高速な誤り率導出法も検討してきており、これが適用できれば計算時間の短縮となり、本研究の遂行が容易となる。 上記のような観点から以下の項目に示したような結果が得られた。 ● 波形の発散を抑えるために,各段階で波形の大きさを線形項に合わせる「正規化」を行う、正規化RP法を提案し、逆伝搬に適用する検討を行ってきた。その結果として逆伝搬の設定によらず正規化RP法の優位性を示すことができた。以上は自己位相変調効果の補償に適用した場合であるが、計画通り、相互位相変調効果への適用について検討を進めている。 ● コヒーレント検波した場合の誤り率計算法に関しては、その適用可能範囲の拡大の検討を行い、実際に起こり得る,様々な受信機設定へも適用可能であることが分かった。これにより高速な誤り率導出が可能となる。現状では光源の位相雑音の影響は取り入れられてなく、実際の場合問題になり得るので、次のステップとして検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正規化RP法の逆伝搬への適用については、概ね満足できる結果が得られた。 誤り率計算法についても、概ね満足できる結果が得られ、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
精度面が改良できれば、さらに適用範囲を広げることができるので、別の近似法の検討を進めつつある。 誤り率計算法の検討に関しては、現状では、光源の位相雑音の影響は取り入れられてなく、実際の場合問題になり得るので、光源の位相雑音の影響を取り込めるように検討を進める。この検討は本研究の対象である光ファイバ非線形効果の影響を評価するのにつながる可能性もある。
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