本研究課題では、昨今の乱立して提案されている最先端の各種通信技術をモジュールとして捉え、それらを単純に組み合わせた時に生じる不整合性を取り除きつつ、システム全体で見た最大性能を得るためのフレームワークを提供することを目的としている。この目的を達成するため平成27年度は、(3)「連接符号の適応制御」における(3)-C「分散MIMO通信路における制御」と(4)総合評価の課題を実施した。 分散MIMO通信路のシナリオにおいて、まず、非同期で複数リンクの同時伝送を行う物理層技術を確立するため、Bluetooth Low Energy (BLE) による非同期空間共用を前提として検討を実施した。BLEの非同期空間多重伝送を行うため、独立成分分析によるチャネル推定と信号分離法を適用し、オーバーサンプリングを活用した効率的な信号分離法を提案した。しかし、BLEは通信路符号化を用いていないため、本研究課題の主題である繰り返し検出のための連接符号構造を持たない。この問題に対して、本研究課題では、変調方式のGFSKと誤り検出符号のCRCに、通信路符号化構造が隠れていることに着目し、これら二つのモジュールを活用して、繰り返し復号を行うことで、繰り返し利得が十分に得られることも明らかにした。 最後に総合評価を行い、自己雑音伝播が伴うような不完全なシステム構成であっても、繰り返し信号処理を適切に制御することにより、繰り返し利得の改善が期待できると結論付けた。
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