研究課題/領域番号 |
25420370
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
冨里 繁 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60362951)
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研究分担者 |
田野 哲 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80378835)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | センサネットワーク / ビーム形成 / カバレッジ |
研究概要 |
25年度は,「協調ビーム形成法における適応送信法」と「同一チャネル干渉下の周波数オフセット推定法」を検討した. (1)協調ビーム形成法における適応送信法 受信状況に応じて適応的にビーム形成と協調送信センサの選択を行う適応送信手法を提案した.適応送信手法では,所要受信品質を満たせず情報信号を再送する場合にビーム形成を行う.計算機シミュレーションによる評価結果から,適応送信により,ビーム形成を行わない場合と比較して,平均ビット誤り率が10-3における所要平均Eb/N0特性において,4.0~13.4dBの改善があることを明らかにした.また,受信SNRの累積分布特性において,5.8~19.8dBの改善があることを明らかにした.また,消費電力低減効果について計算機シミュレーションにより評価した.適応送信型センサ協調ビーム形成法を用いることにより,送信時の平均CNRが5dBの場合,5個の協調送信センサ候補から協調送信センサを選択し,ビーム形成時に12dB送信電力を下げることで60%の消費電力低減効果が得られることを明らかにした.また,ビーム形成時の各送信センサの送信電力には消費電力に対して最適値があり,協調送信センサ数と平均CNRにより決まることを明らかにした. (2)同一チャネル干渉下の周波数オフセット推定法 受信パイロット信号を用いて生成した相関行列を固有値分解し,求めた固有値の最大値に対応する固有ベクトルから周波数オフセットを推定する手法(SVD)について,繰り返し用いることでオフセット推定範囲を改善する方法を提案した.計算機シミュレーションにより推定誤差特性を詳細に評価し,同一チャネル干渉が存在するマルチパスレイリーフェージング伝送路において,送信シンボル周期で正規化した周波数オフセットが12.8以下であれば,精度良く周波数オフセット推定可能であることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度に計画していた「協調ビーム形成法における適応送信法」と「同一チャネル干渉下の周波数オフセット推定法」の検討について進展している. 「協調ビーム形成法における適応送信法」に関しては新規手法の提案と基本性能評価に加えて消費電力低減効果が評価されており,計画を達成できている. 「同一チャネル干渉下の周波数オフセット推定法」についても,推定精度改善手法を新規に提案し,その有効性が示されている. 以上のことから,順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
協調ビーム形成法における適応送信法について,実際のシステムに適用する場合に問題となる周波数オフセットやビーム形成時の位相誤差について検討する.また,これらの不完全性を含めた消費電力低減効果について明らかにし,実システムにおける有効性を評価する. 周波数オフセット推定法に関しては推定精度を明確化し,その精度の周波数オフセットによるビーム形成への影響を明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に計画していたシミュレーション用PCの一部を26年度に変更した.また,論文投稿についても26年度とした. 26年度にシミュレーション用PCを購入する.また,論文投稿を26年度に行う.
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