研究課題/領域番号 |
25420371
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大野 修一 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70273919)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 通信の安全性 / 複数送信アンテナ / ビームフォーミング |
研究概要 |
送信局と正規受信局の通信路容量が,送信局と盗聴局の通信路容量より大きな場合,盗聴されることなく安全に秘密通信が可能であることが理論的に示されている.この理論に基づく秘密通信を実現するために通信路の性質を利用した物理層における秘密通信の研究を行った.具体的には,複数送信アンテナシステムを利用し,いくつかの送信アンテナから干渉信号を送信する干渉波送信ビームフォーミングを提案している.提案法では,盗聴局の通信路情報を用いた盗聴にも耐性があるよう干渉波を送信ビームフォーミングで送信する.そのため提案法は単一端末による盗聴だけでなく複数端末による共謀盗聴を防ぐことが可能となっている.提案法を計算機シミュレーションにより評価し,共謀盗聴に耐性があることを示すともに提案法の有効性を評価している. 携帯電話や無線LANなどの急速な普及に伴い,無線通信は生活に欠かすことのできないものとなっている.しかし,無線通信は通信の傍受が比較的容易であるため,盗聴や不正アクセス,データ改竄など,セキュリティ面での脆弱性が問題となっており,無線通信における盗聴や不正利用を防ぐための情報セキュリティの確保が重要となっている.提案法は秘密鍵方式の欠点を補う新たな秘密通信手法として利用できる可能性がある.たとえば,複数端末からなる無線LANでは複数端末が共謀しある端末の通信を盗聴する場合があるため,提案法を応用することで共謀盗聴を困難にすることができる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
通信路情報を用いた共謀盗聴にも耐性がある送信ビームフォーミング法が提案できたため.
|
今後の研究の推進方策 |
提案法の理論的解析を行うとともに通信路情報に誤差がある場合への適用を考案する.また,より効果的な手法を探求する.
|