三次元メッシュモデルを対象としたコンテンツ保護技術の性能向上・機能強化を目的として、通信理論および信号処理論に着目した電子透かし技術について研究し、その応用技術を開発した。本研究の大局的な目標は、音声や静止画像、動画像と比べて製作コストが高く、著作権保護の要求が厳しい三次元画像に活用できる要素技術を確立することである。この目標を達成するために、本年度も通信理論における拡散符号ならびに信号処理論におけるフィルタを用いた電子透かし技術の研究に取り組んだ。最終年度の主な成果は次の通りである。 1. 周波数選択性スミア変換を用いた電子透かし法の研究開発 インパルス信号を入力として拡散系列を生成するスミア変換を研究し、このシステムの通過特性を指定した周波数選択性スミア変換を採用することにより、ロバスト性および埋め込み情報量の点で従来法を上回ることが可能であることを明らかにした。その研究内容をまとめた論文を国際会議において発表した。 2. 直交系列に乗法規則を用いた電子透かし法の研究開発 乗法規則に基づく電子透かし埋め込み法を研究し、直交系列に乗法規則を適用することにより、画質および検出性能を改善できることを明らかにした。その研究内容をまとめた論文を国際会議において発表した。 上記の2つの成果の他に研究期間全体を通じて実施した研究の成果として、高域通過フィルタを用いた電子透かし法についても研究し、三次元メッシュモデル電子透かしの埋め込み処理および検出処理の双方に組み入れることにより画質を改善できることをシミュレーションにより明らかにした。
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