研究課題/領域番号 |
25420377
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉富 邦明 九州大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30150501)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 単方向指向性 / 小型平面アンテナ / スロットアンテナ / 反射板 / 円偏波 |
研究概要 |
反射板付き小型スロットアンテナとして、920MHzバッテリーレス電子ペーパー用レクテナ、5.8GHzスポット通信用円偏波発生平面スロットアンテナ、5GHz帯単方向指向性スロットダイポールアンテナアレイを開発し、他にもこれらから派生したいくつかの小型アンテナを開発した。レクテナは56mm×80mmの長方形導体パッチの端にスロットがあり、反射板はスロットに対して反対側に伸びた100mm×80mmの長方形導体板である。反射板をパッチと同じ大きさからスロットと反対側の方向に徐々に大きくするにつれて、単方向性が強調され、最終的に9.17dB円の前後比が得られた。アンテナの最大利得は1.5dBiである。アンテナの全体の大きさは電子ペーパーのサイズで与えられ、幅は自由空間波長の4分の1、長さは3分の1であり、1波長程度の大きさを有する通常のスロットアンテナよりもかなり小型である。アンテナと給電線のインピーダンスを整合するため、インターディジタルキャパシタを用いたインバータ回路を用いた。偏波発生アンテナは、左右対称な直線偏波スロットアンテナを半分に切った構造であり、半分に切ることにより左右非対称構造となって円偏波を発生している。右半分と左半分で円偏波の回転の向きは逆転する。アンテナを半分に切ることで反射板も半分になるが、片面指向性は維持されている。アレイアンテナも、単方向指向性スロットアンテナをアレイ状に並べたものであるが、給電線の分岐点でのインピーダンス整合を調整することで片面指向性を持ち良好な利得を持つアンテナを実現できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平面スロットアンテナは磁流を放射源とするアンテナであるため、導体板を近傍に置くと導体側への放射が遮られ、反射側へは強い放射が得られる。片面指向性アンテナとしては初期に考案した長方形導体パッチに長方形スロットを設けたアンテナと長方形反射板という単純な形状のアンテナだけではなく、折れ曲がりスロットを持つスロットアンテナや、直線偏波発生アンテナだけではなく、円偏波発生アンテナにおいても、近接反射板によって片面指向性が得られている。動作原理を明快に説明するまでには至っていないが、様々な形状の平面型スロットアンテナに於いて、近接反射板により片面指向性が実現できている。
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今後の研究の推進方策 |
今回開発したアンテナのうち、比較的単純な形状のレクテナにおいて、長方形パッチ状のスロットの位置と、近接反射板の大きさの関係を調べ、片面指向特性の基本的な動作原理を解明する方向で研究を進める予定である。
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