研究課題/領域番号 |
25420378
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
福迫 武 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (90295121)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アンテナ / 電気的小形アンテナ / 円偏波 / ノンフォスター回路 |
研究実績の概要 |
本年度は,まず,低姿勢かつ小形なアンテナをいくつか作成した.一つは,ドッグボーンペア構造と呼ばれるI型の素子を平衡に並べた単体素子を平面方向に周期的に並べた構造である.これにより指向性を持たせる平面アンテナが可能になった.但し帯域が狭いため広げることが必要である. 次にノンフォスター回路であるNegative Impedance Convertor(NIC)を作成した.高周波数で動作するトランジスタ2個を備えた発信器であるが,現在のところ.300MHz帯での動作を確認した.現状では,安定性の問題が有り,周波数を高くするのは困難である.これを解決するためには,回路のプロセスを細かいものにする必要がある.この過程において,ミドルブロック法による安定条件を検討した.今後,安定性についてさらに検討し,高い周波数での動作を検討する.現在,メアンダアンテナの入力ポート部分にNICを取り付け,高さが4分の1波長に比べてかなり低いアンテナで背面金属板を備え,かつ電気的に小形(ka<0.5, k:波数,a:アンテナを囲む球の半径)がアンテナで,かつ広帯域なアンテナを実現することができた. さらに,広帯域円偏波アンテナについて検討した.L形のプローブを備えた導波管形アンテナであるが.短絡壁をパラボラ壁に変更し,かつ,開口付近の形状を工夫することで,広帯域であつ,広い角度に亘って低い交差偏波で円偏波を発生できるアンテナを開発した.これは,UWBハイバンドのほとんどをカバーできるほどの帯域である.これを来年度に広帯域化することを考える.また,小形アンテナについてもいくつか検討し,無指向性で円偏波を出す電気的小形アンテナや,低姿勢で広帯域なアンテナについて動作原理や設計方法について検討することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ノンフォスター回路については,本年度に設計と作成ができた.しかし,動作周波数が低いため,今後高い周波数化を検討したい.安定条件と向かいながら慎重な設計方法を考えて行きたい. その他の小形アンテナや広帯域アンテナは,いくつかの形状を開発した.これは予想以上の成果である.
以上,ノンフォスター回路の進捗とアンテナの進捗を総合的に考え,概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後はノンフォスター回路の高周波数化を考えたい.かなり挑戦的な課題であることが本年度の研究で分かったが,安定条件の詳細な検討から可能性を見つけて行きたいと考えている. その他のアンテナについては,予想以上にいろいろなアイデアで様々な形状を検討した.順次発表して行きたいと考えているが,最終的にはノンフォスター回路との組み合わせを検討したい.そのためには,周波数を少し下げる必要があると考えている.
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