狭帯域な小形アンテナにおいて,帯域を広げるのに有用なNegative Impedance Converter (NIC)の高周波数化を目指した.研究の過程において,昨年度までに安定性の問題が発生し,それに取り組んでいる.H27年度においては,安定性の解決方法として,NICを構成するトランジスタのコレクターベース間にキャパシタを付加し,この値を制御することで安定性を見出すことを提案する.実際,回路シミュレーションにおいては,300MHz帯から1GHz帯までNIC動作の可能性を見出した.一部整合がとれない帯域も存在したが,1GHz帯まで使用できる可能性を見出したことで,UHF帯のRFID等への応用の可能性を見出すことができた.現状では,安定性の向上法の検討に重点を置いたためシミュレーションのみであるが,作成までには至っていない.しかし,安定性については,理論的に検討しており,今後,作成においても良い結果を期待できる. 一方,広帯域な円偏波アンテナの開発についてである.まず,円形導波管型のアンテナは,UWBハイバンドをカバーでき,140度程度の方位角範囲において円偏波の送受信が可能である.また,導波管型であるために,高利得化も可能である.
さらに,周期構造を適用したメタ表面について広帯域な形状を見出した.これらは,近いうちに発表予定である.さらに,低姿勢アンテナとして,グラウンドプレーンに平行に円偏波の送受信を行う,ノーマルモードヘリカルアンテナに似た構造や,低姿勢ながら,垂直偏波を発生させる新しいアンテナ構造を提案した,これらはNICとの組み合わせで広帯域の可能性を持っていると考えられる.
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