研究課題/領域番号 |
25420383
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
池原 雅章 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00212796)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超解像 / 補間 / ショックフィルタ |
研究実績の概要 |
前年度は画像の自己相似性を用いた単一画像からの超解像度技術として、非局所平均による方法と、学習を用いないL2近似による方法の2つの方法を提案した。これらの方法は画像の自己相似性という性質を使った超解像度技術であり、良好な結果が得られているが、この性質が少ない画像の場合には精度が劣化したり、自己相似なパッチを検索しなければならないため計算時間が増大するという問題があった。 本年度はより高速で実用性の高い新しい方法を提案した。まず超解像のための画像拡大のために、ガウス重みに基づく高精度な画像補間法を開発した。従来自己回帰モデルに基づく優れた補間法があるが、局所的なモデルを求めるために計算時間が多く、また対象とする局所領域が広いためテクスチャを再現できないという問題があった。提案する方法は対象画素の周囲4点の画素の差分値をガウス関数で表現し、これを重みとするだけの単純な方法であるが、従来法と同等の性能を持ちかつ高速に補間できることを示した。さらに補間の際に自己回帰モデルを用いることで、高速性を保ちつつ、従来法以上の性能を持つことを示した。 さらに超解像のための高周波数成分生成のために、補間画像を低域と高域に分離し、広域信号にショックフィルタと呼ばれる非線形エッジ強調処理を施し、低域成分を加算するだけで、より鮮明な超解像画像が得られた。これらの方法は単純な関数計算とフィルタリング処理で実現できるため、リアルタイムの処理が可能であるという利点を有している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の目標であった、実時間処理可能な超解像技術を開発でき、性能的にも良好な結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは単一画像の超解像度技術を検討してきたが、かなりの成果が得られたため、最終年度はビデオの超解像に挑戦したいと考えている。これはマルチフレーム超解像と呼ばれ、従来から多くの研究報告があるが、複数枚の低解像度画像の位置合わせを行い、MAP推定と呼ばれる計算負荷の大きな処理が必要となる。本課題では各フレームで単一画像の超解像を行い、位置合わせを行う代わりに、雑音除去の最先端技術であるBM3Dの動画像版VBM3Dを用いて位置合わせと雑音除去を同時に行う手法を提案する予定です。本研究が完成すれば、これまでのマルチフレーム超解像のブレークスルーとなり得る可能性を秘めている。
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