研究課題/領域番号 |
25420393
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
久保 博嗣 立命館大学, 理工学部, 教授 (40633243)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 通信方式 / 変復調 / 信号処理 / 符号化 / MIMO伝送方式 |
研究概要 |
本研究では,高速に電波環境(伝送路)が変動する条件の下,周波数資源を有効利用して大容量化するために,伝送路変動を予測し,かつ,時間軸と空間軸を活用した差動時空符号化に新たに周波数軸を協調させる予測形差動時空周波数符号化の研究を実施している.本研究成果を活用することで,従来より基地局のカバーエリアを3倍以上としてサービスに必要な基地局数は1/10以下に削減,単位周波数当たりの送信ビット数は2~4倍にすることが可能で周波数資源を2~4倍有効活用することができる.これらの効果から,同一周波数で同報通信を実現する移動体通信システムにおいて,システムを簡単化でき,収容ユーザ数や送信データ量を増大することができる. 本研究の平成25年度の成果は,1.差動時空符号化のための予測形復調方式,2.多値差動時空符号化PSKのための信号点配置最適化技術を提案し,シングルキャリア (SC) 伝送方式にて,正規化最大ドップラー周波数fDTが3%の環境下で,周波数利用効率4bps/Hzを実現したことである. 上記1.に関しては,伝送路の高次モデルを作成し,その係数を擬似逆行列で推定する手法を提案し,本手法が差動時空符号化に有効であることを明らかにした.上記2.に関しては,非対称な信号点配置手法を提案し,従来方式と比較して受信感度を改善可能なことを明らかにした.これら成果は,研究会にて既に報告済みであり,平成26年度5月に国際会議VTC2014-Springにて報告予定であり,その後,査読付き論文に投稿予定である.なお,上記1.と2.の技術を適用した差動時空符号化に対して,更に演算量削減アルゴリズム,受信ダイバーシチを活用することで,当初の数値目標を達成できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進捗している.なお,研究成果の提案技術の詳細に関しては既に学会発表を完了しているが,当初の数値目標を示すシミュレーション結果に関しては公知文献として提出が完了していない.これを受けて,シミュレーション結果に関しては,平成26年度7月までに現在査読付き論文として投稿予定である.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究成果が順調に出たことを受け,高速に電波環境(伝送路)が変動する条件の下,周波数資源を有効利用して大容量化するために,伝送路変動を予測し,かつ,時間軸と空間軸を活用した差動時空符号化に新たに周波数軸を協調させる予測形差動時空周波数符号化の研究を継続して実施する. 平成26年度は,当初の計画通り平成25年度の研究成果をいかして,新たに空間多重と信号多重を融合した差動時空符号化の研究を実施する.本技術により,周波数利用効率改善(4bit/symbol→4~8bit/symbol)を達成する.なお,8bit/symbolという周波数利用効率を高めた条件では,正規化最大ドップラー周波数fDT=3%という追随性に固執するのではなく,fDT=1%という条件も視野にいれることにする.それゆえ,追随性に対する目標値をfDT=(1~)3%としている.具体的には,周波数利用効率を更に高めるために,1.空間多重のための差動時空符号化,と 2.ネットワーク符号化変調を用いた信号多重を研究するものである. 平成27年度は,平成26年度までの研究成果をいかして,新たに差動時空周波数協調符号化変調の研究を実施する.本研究は,従来のシングルキャリア (SC) 伝送方式を,シングルキャリア伝送方式とマルチキャリア伝送方式を融合したシングルキャリア/マルチキャリア (SC/MC) 伝送方式に拡張することにより,周波数配置の柔軟化を容易とするものである.具体的には,周波数配置柔軟化を実現するために,3.差動時空周波数協調符号化変調と4.SC/MC融合伝送技術を研究するものである.
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次年度の研究費の使用計画 |
費用差異は,平成25年度の旅費が想定より少なかったために発生した.その理由は,研究期間の初年度ということもあり,国際会議などの成果発表の一部を次年度に繰り越したためである. 平成26年度は2年目であり成果発表を加速中である.ゆえに,この費用差異は平成26年度と平成27年度で吸収する予定である.
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