ランガサイト系単結晶は、高温環境下で動作する温度・圧力センサーデバイスや、次世代の情報通信用高安定発振デバイスの材料として期待されている。デバイス設計には高精度な音響関連物理定数とその温度係数が不可欠である。本研究では、従来の計測法における問題点を明確化すると同時に、最適な計測法および定数決定法を構築し、新しい計測標準として確立することを目的とする。また、高精度超音波計測技術による評価を通して、様々な置換型結晶があるランガサイト系単結晶の中で最も優れた特性を有する材料を探索する。 平成26年度、開発した手法により実際に温度係数測定を通して検証を行なったところ明らかとなったパルスエコー法における接着層の厚み制御と温度依存性の影響の問題について解決策を検討した。接着剤となる紫外線硬化材の音響特性を明確化しても、張り付け時の接着層の厚み制御が困難なため、パルスエコー法測定における接着層内でのパルス遅延時間の補正は非常に難しいことがわかった。この解決法として、超音波マイクロスペクトロスコピー(UMS)技術の計測手法をベースに、試料部に温度制御機構を導入することで温度依存性を計測する手法を提案した。CTGSやCNGSのGaをAlで置換した、CTGAS、CNGAS単結晶などの材料に対して音響関連物理定数を決定した。定数・温度係数が確定した材料に対しては、振動子や弾性表面波フィルターなどのデバイスとして最適なカット角および伝搬方向を計算により導出した。また、X-cut基板面内の結晶方位を漏洩擬似縦波(LSSCW)を使って決定する手法も提案し、実証した。
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