研究課題/領域番号 |
25420400
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
吉川 宣一 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00282335)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 計測工学 / 顕微鏡 / ホログラフィ / 情報工学 / 画像処理 |
研究概要 |
広範囲の計測を可能とするマルチカメラを用いた新しいデジタルホログラフィック顕微鏡のために拡大光学系をもつ実験システムを構成し記録再生できることを確認した.明瞭な再生像を得るための条件を調査した. ホログラム再生法を新たに開発した.デジタルホログラムの数値再生はフレネル変換を用いて行うが,インライン光学系を用いると,目的とする物体光と0次成分と共役光が重なってしまい歪んだ再生像が得られることになる.これを解決するために位相シフト法が開発されたが,位相シフト量の精密制御が必要であるため計測システムが高コストになるという問題があった.我々は,位相シフト制御が必要ない統計的性質を利用する位相シフト法を開発した.従来は物体依存性があるという問題があったが,本研究では斜入射参照波を用いることにより物体依存性の問題を解消できることを理論と実験で明らかにした.これにより低コストでマルチカメラシステムを構成できるようになった. ホログラム記録に用いる参照光としてイメージセンサ近傍に置かれた点光源を用いる新しい配置のホログラフィシステムを開発した.この条件で記録されたホログラムには放射状の干渉縞が記録され,計算で物体光と他成分を分離できることを明らかにした.さらに点光源位置をオフセット配置することにより,他成分の影響を低下させられることを解明した.これらの結果に基づいて点光源参照波を用いる方式で計測システムを構成することが有効であることを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基本となる計測システムは構築済みだが,拡大光学系とマルチカメラの組み合わせはまだ検討段階である.最適な構成を調べるために様々な構成を試している.再生計算プログラムのアルゴリズム開発は順調に行われたがGPUによる実装はまだ不十分である.これはGPUに適した処理にするには特殊な並列処理プログラムを記述する必要があり,この最適化に時間がかかっている.
|
今後の研究の推進方策 |
計測システムの最適化をまず行い,そのシステムに合わせて再生プログラムの開発を行うようにする.これにより今回の提案手法によるデジタルホログラフィック顕微鏡システムが実現できることを確認し,問題点を明らかにする.この結果をフィードバックすることにより計測システムの最適化を行う.
|