研究実績の概要 |
前年度は、ESD法によるポリマ薄膜作成を行うために、中間電極を適応することによってプラスチック光ファイバ(POF)コアに対して安定した静電スプレーを形成することができることを明らかにし、それ以前に比べて膨潤性ポリマのコーティングを容易に、安定して行うことができるようになった。昨年度はさらに、直径0.5mmのPOFコア上に、ESD法による膨潤性ポリマクラッドのコーティングによって作成したPOFセンサのへキサン飽和蒸気に対する応答を調べた。本年度は、さらにクラッドの2層化を図ることにより、感度の向上を目指した。 【ESD法によるポリマ薄膜作成】 ESD法で形成した液滴は強く帯電しているた為に導電性がないPOFなどには、帯電による静電気反発力によって薄膜形成に支障がある。昨年度は,キャピラリーと対向電極間にスプレーを透過する穴を持つ中間電極を対向電極の上方1cmから2cmのところに設置し,およそ1KVの電圧をかけることによってPOFなどのポリマ基板の帯電をおさえ、ポリマ薄膜製成の改善を目指した。しかし、まだパラメータの調整が不十分であり、さらに検討を加える必要があったので本年度はさらに検討を加えて、最適な値を模索した。 【クラッドの2層化による感度向上の試み】 これまでは、プラスチックコア上に直接ESD法でポリマ層を形成したが、新たに、ディップコーティングにより形成した膨潤性クラッド層の上部に、白濁した0.5~1μmの層をESD法によって形成した2層構造のPOFセンサを試みた。これは、極薄い散乱層をセンシング層の上部にコーティングして、漏れモード時のクラッド光を散乱させ、コアへの戻り光を少なくすることで、感度の向上を目指すものである。飽和ヘキサン蒸気に対する応答特性を測定したところ、漏れモード時の透過光強度の減少が見られ、その結果、二倍以上の感度の向上を確認できた。
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