研究課題/領域番号 |
25420407
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
増田 浩次 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (60583127)
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研究分担者 |
北村 心 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (60549179)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 水面 / 光センシング / 実時間 |
研究実績の概要 |
H25年度の検討に引き続き、多波長・多経路の光ビームを用いた実時間動作型の水面センシングシステムに関し、その構成法と動作・性能に関する検討を推進した。まず、理論及び方式検討として、光パルスを用いた構成における信号対雑音比特性を考慮し、光パルス受信判定の閾値レベルを有するシステム構成の提案を行った。また、多波長の光パルスの発生法として、増幅自然放出光源、光サーキュレータ、アレイ導波路回折格子、光遅延用光ファイバ及びファイバミラーモジュールなどを用いた光源の提案を行い、1経路多波長または多経路多波長の送受信構成の提案を行った。また、室内実験において、上記の提案の構成・動作及び基本特性の確認を行った。 水面でのフレネル反射特性に関し、雨滴落下時などのフィールド環境を想定し、フィールド調査及び室内実験を行った。室内実験では、実験水槽への水滴落下時の受光パワー時間波形の基本特性を確認した。特に、光ファイバコリメータモジュールから送出される光ビームのモードフィールド径(MFD)依存性を実験確認した。水面における水面波の特性波長に比べMFDを大きく設定することにより、光パルスの安定した受信が可能であることを確認した。また、水面近傍の水中からの拡散反射光の受光パワー特性を室内実験により調べた。川の水と水道の水及びCW光を用いて実験を行い、受光パワーのレベル及び時間波形の基本特性を評価した。さらに、我々が提案した経路分離法及び偏波変調法における水位検出精度特性の検討を行った。1.55micron近傍の伝搬光を用いることにより、数mm程度までの水位検出が可能であることを実験確認した。また、水中での光の吸収係数の波長依存性を考慮した理論・実験検討により、本システムにおける最適波長に関する特性の明確化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
提案システムの構成・動作に関する検討が進み、我々の提案技術である経路分離法及び偏波変調法の特性明確化が顕著に進展した。実験水槽とフィールドの水を用いた実験検討についてCW光及び多波長のパルス光を用いた鏡面反射特性及び拡散反射特性の明確化が大きく進展した。伝搬光のビーム径及び波長の最適化に向けた特性明確化を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
本方式の変調光に対する信号対雑音比特性、適応距離、水位・波高の分解能などの基本特性を、実験室及びフィールドにおいて検証する。実用上十分な精度を有する実時間水面センシングシステムの実現可能性を示す。計測可能距離として、陸地から10m~10km程度、また、水位及び波高の測定分解能として1cm~1m程度を目指す。本方式の信頼性・安定性及び経済性を考慮した構成最適化を行う。さらに、本方式と従来技術との性能及び信頼性などの比較を行い、本方式の適用領域を明らかにする。特に、光源構成、使用波長、ビーム径、波長数及び経路数の明確化・最適化を行う。多波長光システムのメリットの明確化を行う。また、経路分離法及び偏波変調法の有効性の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究計画及び研究の振興に基づき必要な装置・部品を購入したが、使用計画額と実績の間に少額(944円)の差分が生じたため、次年度に繰越して使用することが効果的であると判断した。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分として請求した助成金と合わせ、1個あたり1000円程度の光部品の購入に充てる計画である。
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