研究課題/領域番号 |
25420408
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
山口 順一 香川大学, 工学部, 教授 (10325318)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 全方向 / 三次元計測 / 移動体追跡 / 両眼視 / 魚眼レンズ / 魚眼画像 / 対応点検出 / 画像変換 |
研究概要 |
実験用の魚眼両眼視モジュールを製作した.魚眼レンズは視野角180度であり,これによりカメラの左右上下から前方への全方向について三次元計測が可能になる.そして,このモジュールを2セット背中合わせにすることで周囲全方向について三次元計測が可能になる. 次に,実験用のモジュールを使い,三次元計測用画像処理法の構築を進めた.まず,魚眼画像そのままでは左右画像における対応点検出が難しいことに注目し,独自の画像変換法を開発した.これは,部分領域の画像歪みを解消しようとするものであり,この処理を魚眼画像全域に適用することによって全方向について対応点検出が容易になる.その後,本変換手法により得られる変換画像を使って,移動体を対象とする像対応座標検出法の構築および三次元座標位置決定手法の構築を進めた.大学構内で,カメラの左右方向へ通過するバイクを計測対象として行った実験の結果,バイクが真横方面にあるとき三次元座標位置計測エラーが大きい傾向にあることが分かった.これは,それぞれのカメラ画像において,移動体像抽出結果に部分欠落が発生また欠落状況に違いがあること,更に,バイクの見え方がやや異なることが影響しているためと考えられる.一方,思惑通りのバイク像対応座標を指定できた場合は,妥当な三次元座標位置が計測されることを確認できた.従って,三次元座標位置決定手法は満足できると考えている.これらのことから,移動体像抽出と像対応座標検出法に改善が必要であると考えている.また,並行して,魚眼カメラ2台を背中合わせにした場合の周囲全方向空間表現方法の構築を進めた.ここでは,両画像間での移動体像の連続性,および,全方向空間の扱い易さの度合いを確認することが重要である.主観評価ではあるが,満足できる結果であると考えており,今後,移動体追跡等の実験を踏まえながら本表現方法の定量的評価を進めることが必要と考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに,まず,魚眼カメラ2台による両眼視モジュールを製作した.そして,魚眼画像をそのまま用いても画像歪みのために三次元計測は実現しにくいという問題に対して,本研究では,独自の画像変換により得られる変換画像を用いた三次元計測手法の構築を進めた.この手法は,画像歪みを解消して像マッチング精度の低下を防止しようとするものである.大学構内での実験を通して,画像の端すなわちカメラの横方面にある移動体について,三次元座標位置計測エラーが大きい傾向にあることが分かった(カメラ上下方面でも同じ説明になる).これは,それぞれのカメラ画像において,移動体像抽出結果に部分欠落が発生また欠落状況に違いがあること,更に,計測対象の見え方がやや異なることが影響しているためと考えられる.この結果から,本画像変換手法に問題は特に見当たらないが,画像中からの移動体像抽出の精度と,三次元計算のための移動体像領域の取り扱いに不具合があると考えている.このように,三次元計測の画像処理手法として,一部,満足できるまでには達成できていないが,改善点を確認できたことから改善作業を今後の計画の中で並行して進められると考えており,これにより,全体計画に大幅な変更を必要とするものではないと考えている.当該年度の実施については,この他に,魚眼カメラ2台を背中合わせに組み合わせた場合の周囲全方向空間表現方法の構築を進めた.両画像間での移動体像の連続性,および,全方向空間の扱い易さの度合いを確認することが重要であり,現在のところ,主観評価ではあるが満足できる結果が得られている.今後は,客観的なデータを踏まえた評価を行いながら本表現方法を利便性が更に高いものへ構築していくことが必要と考えている.
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今後の研究の推進方策 |
まずは,平成26年度の計画の実施であり,それは,外界認識として,(a)風景(路面,壁,建物など)の三次元形状計測,(b)物体認識方法(自動車,自転車などの移動体や歩行者を識別する),(c)認識精度,に関して,画像処理手法を構築することである.また,その計画には更に,上記の【現在までの達成度】に記載した改善を付け加えることを考えている.その改善作業は,平成26年度計画の実施において一部修正の形で組み入れることを考えている.そうすることにより,計画全体の遂行はおおよそ予定通りに進むと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
大学会計処理結果による残金(次年度使用額)を確認できたのが,学内で定めた研究費年度末最終執行期限ギリギリであっため,残金を執行し損ねたためである. 平成26年度計画で購入予定の物品の価格変動への対応に活用することや,実験で必要なケーブルやメモリ等の消耗品購入に充てることを考えている.
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