申請者らは、乳がん早期発見を目的とした電気・超音波一体型可視化システムの確立を目指している。本診断システムの特徴は、電気インピーダンスと超音波による2種類の組織画像が同時に得られること、2種類の画像の融合により診断能力の向上が図られること及び比較的簡便な診断システムであることの3 点である。 本年度は、製作した電気・超音波一体型可視化システム(1号機)による生体モデル実験及び生体測定を行い、本システムを評価した。1号機は、市販の超音波診断装置のプローブの表面に薄膜電極を塗布することで超音波画像とともに電気インピーダンス画像を取得するシステムである。 生体モデルによる実験において、昨年度から行っている寒天モデルの不安定性の改善を行うとともに薄膜電極の影響について検討した。結果として、本システムによる再構成画像により腫瘍モデル検出能力の向上を図ることができた。このことは、シミュレーションによる数値実験においても同様の結果を得ることができた。また、プローブ表面に塗布した薄膜電極が超音波画像再構成に影響について,複数の薄膜実験により、薄膜電極の厚さ及び接触状態を改善することで、影響を低減可能であることが確認できた。モデル実験の成果から本システムの有用性を確認することができた。 生体実験においては、まず、腹部での測定を行った。結果から、測定精度が不十分であり、再構成画像を得るに至らなかった。しかしながら問題点を把握でき、十分改善可能であることから生体測定のための一定の成果を得た。 今後は、本研究で得た研究成果をもとに、現在進めているシステムのさらなる小型化及び画像再構成の高速化を図り、実用化に向けた電気・超音波一体型可視化システム(2号機)を製作する予定である。
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