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2013 年度 実施状況報告書

利得変調半導体レーザーのピコ秒時間ゲート機能を利用した応用計測

研究課題

研究課題/領域番号 25420413
研究種目

基盤研究(C)

研究機関大阪府立大学

研究代表者

和田 健司  大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40240543)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード半導体レーザー / 利得変調パルス / ピコ秒パルス / 戻り光誘起雑音 / 時間ジッター / 光学距離計測
研究概要

平成25年度は,戻り光をもつ利得変調半導体レーザーをピコ秒時間ゲートシステムとみなし,その基本特性の調査から始めた.
異なる波長(800 nm, 1300 nm, 1550nm)や共振器構造(DFB,ファブリーペロー(FP),面発光)をもつ半導体レーザーを購入し,変調周波数1GHz付近で利得変調することによりピコ秒パルスを発振させ,出力の一部を戻り光として帰還させASE雑音強度へ及ぼす影響について調べた.その結果,いずれの素子も共振器内で光パルスが発生するタイミングに一致して戻り光パルスが帰還したときにASE雑音強度が増大することを確認した.38dBの光アイソレータが内蔵された半導体レーザーでは,戻り光強度1μW~100μWの範囲でASE雑音強度の増大が観測され,遅延軸を掃引することにより,時間換算して20~30ピコ秒の相関幅をもつ対称なASE雑音増幅波形が描かれることを確認した.このピコ秒時間ゲート特性を利用して次の応用計測を行った.
時間ジッター計測では,時間ジッターの無い理想的な場合のASE雑音増幅波形を数値シミュレーションによって求め,観測したASE雑音増幅波形との差分より時間ジッターを見積もった.その結果,DFBレーザーでは5~10ピコ秒,FPレーザーでは1ピコ秒以下の時間ジッター値を得た.
光学距離計測では,利得変調における変調周波数を掃引し,ASE雑音増幅が生じる変調周波数2点の値を正確に計測することにより,部分的に偏波保持ファイバーを含む全光学長45mの光ファイバーの長さを100μmの空間分解能で計測することができた.また,偏光制御により,偏波保持ファイバーの複屈折の値を精度よく見積もることにも成功した.
いずれも,半導体レーザー以外に高速な受光素子や計測装置を用いることなく,ピコ秒以内の時間分解能に相当する精度で計測を行っていることが特徴である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度の研究計画書には,時間ジッター計測,光学距離計測,光ファイバー多点センサーの3つの応用計測に取りかかることを記載したが,時間ジッター計測と光学距離計測におけるデータ解析や数値シミュレーションに多くの時間を要したため,平成25年度中には,光ファイバー多点センサーについては取りかかることができなかった.ただし,計画では,引き続き平成26年度にこれらの応用計測を行う予定になっているため,現在のところ問題なく研究を進めることがきると考えている.

今後の研究の推進方策

平成26年度は,当初の研究計画通り,ピコ秒時間ゲートシステムを血糖モニターへ適用するべく基礎実験から始める.血糖の変化に伴う光散乱の変化を戻り光強度の変化,つまりASE雑音強度の変化として観測することができるか否かについて最大の関心をもって詳細に調べる.また,平成25年度より行っている応用計測については,光ファイバー多点センサーを加えて行い,得られた結果を学会発表,論文発表としてまとめる予定である.

次年度の研究費の使用計画

平成25年度に実験準備,実施予定であった光ファイバー多点センサーの実験ができなかったため,関連するファイバーブラッググレーティングの予算の一部が残金となった.
平成26年度から光ファイバー多点センサーの実験を開始するにあたり,残金分を合わせて適切な設計のファイバーブラッググレーティングを購入する予定である.

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 学会発表 (12件)

  • [学会発表] 利得変調したファブリー・ペロー型半導体レーザーの戻り光誘起雑音を利用した時間ジッタ計測2014

    • 著者名/発表者名
      山上雄基,橋井匠,松倉聖,和田健司,松山哲也,堀中博道
    • 学会等名
      第61回応用物理学会春季学術講演会
    • 発表場所
      青山学院大学 相模原キャンパス
    • 年月日
      20140317-20140320
  • [学会発表] Simple form of multimode laser diode rate equations incorporating band filling and gain saturation effects2013

    • 著者名/発表者名
      Kenji WADA, Tetsuya MATSUYAMA, Hiromichi HORINAKA
    • 学会等名
      2nd-DYCE-ASIA/ISSP-International Workshop on "Life Science and Photonics"
    • 発表場所
      東京大学柏キャンパス
    • 年月日
      20131217-20131218
  • [学会発表] 戻り光をもつ利得変調半導体レーザーを用いた偏波保持ファイバーの複屈折計測2013

    • 著者名/発表者名
      松倉聖,橋井匠,山上雄基,和田健司,松山哲也,堀中博道
    • 学会等名
      Optical & Photonics Japan 2013
    • 発表場所
      奈良県新公会堂
    • 年月日
      20131112-20131114
  • [学会発表] 利得変調半導体レーザーの戻り光誘起雑音を利用した偏波保持ファイバーの複屈折計測2013

    • 著者名/発表者名
      和田健司,松倉聖,橋井匠,山上雄基,松山哲也,堀中博道
    • 学会等名
      レーザー学会第6回「レーザのカオス・ノイズダナミクとそ応用」専門委員会
    • 発表場所
      官公労共済会八重山会館
    • 年月日
      20130924-20130925
  • [学会発表] 利得飽和を考慮した半導体レーザーレート方程式の導出2013

    • 著者名/発表者名
      松山哲也,和田健司,堀中博道
    • 学会等名
      第74会応用物理学会秋季学術講演会
    • 発表場所
      同志社大学 京田辺キャンパス
    • 年月日
      20130916-20130920
  • [学会発表] 利得変調したファブリー・ペロー型半導体レーザーの戻り光誘起雑音特性2013

    • 著者名/発表者名
      山上雄基,橋井匠,和田健司,松山哲也,堀中博道
    • 学会等名
      第74会応用物理学会秋季学術講演会
    • 発表場所
      同志社大学 京田辺キャンパス
    • 年月日
      20130916-20130920
  • [学会発表] 利得変調半導体レーザーにおける時間ジッタの見積もり2013

    • 著者名/発表者名
      和田健司,松倉聖,橋井匠,山上雄基,松山哲也,堀中博道
    • 学会等名
      福井セミナー
    • 発表場所
      福井大学
    • 年月日
      20130807-20130809
  • [学会発表] Simple method for measuring time-jitter in a gain-switched DFB laser using delayed optical feedback2013

    • 著者名/発表者名
      K. Wada, Y. Hono, T. Hashii, Y. Yamagami, T. Matsuyama, and H. Horinaka
    • 学会等名
      The 10th Conference on Lasers and Electro-Optics Pacific Rim 2013(CLEO-PR 2013)
    • 発表場所
      京都国際会議場
    • 年月日
      20130630-20130704
  • [学会発表] 利得変調半導体レーザーに関する光計測

    • 著者名/発表者名
      和田健司
    • 学会等名
      レーザー学会第5回「レーザのカオス・ノイズダナミクとそ応用」専門委員会
    • 発表場所
      アピカルイン京都
  • [学会発表] 戻り光雑音を利用した利得変調多モード半導体レーザーの時間ジッタ測定

    • 著者名/発表者名
      山上雄基,橋井匠,松倉聖,和田健司,松山哲也,堀中博道
    • 学会等名
      レーザー学会第453回研究会
    • 発表場所
      I-siteなんば 大阪
  • [学会発表] 利得変調半導体レーザーの戻り光雑音を利用した偏波保持ファイバーの複屈折計測

    • 著者名/発表者名
      松倉聖,山上雄基,橋井匠,松山哲也,和田健司,堀中博道
    • 学会等名
      レーザー学会第458回研究会
    • 発表場所
      東京理科大学森戸会館
  • [学会発表] 1.5μm帯半導体レーザーの多モードレート方程式の導出

    • 著者名/発表者名
      松山哲也,和田健司,堀中博道
    • 学会等名
      輻射科学研究会3月例会
    • 発表場所
      大阪府立大学

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公開日: 2015-05-28  

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