研究課題/領域番号 |
25420426
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山本 哲也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 分析計測標準研究部門, 主任研究員 (30312755)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 非破壊計測 / 波動伝搬 / 劣化予測・診断 |
研究実績の概要 |
パルスレーザー走査を適用した欠陥検出装置において、センサ(探触子)を複数か所に配置することにより、レーザー励起された超音波の伝搬挙動を異なる場所での多系統の信号として同時にモニタリング・映像化を行う手法に関して、その有効性の検証を昨年度まで行ってきた。これまでは基本的に1箇所にのみ欠陥を有する試験片に対して探傷を実施してきたが、本年度は、特に、複数か所に近接配置された欠陥の分離判定の可能性に関して、その有効性の検証を行った。垂直探触子を試験片の側面に適用し、欠陥中心間の距離:15~5mmの5種類の貫通欠陥を有する試験片に関して考察を用い、入射波に対して欠陥が前後に並んで近接配置された場合において、欠陥中心間の距離が最も近い5mmにおいても2か所に配置された欠陥からの散乱現象(波頭面)を別々に視認できた。 次に、より高い信頼性を有する欠陥検出法の確立に向けて、ステップ状の不連続を有する金属円形パイプ内部にマイクロ波を伝搬させた際の反射・透過特性に関して検討を行った。著者らはこれまで11GHzにおいて金属円形パイプ内部にマイクロ波を伝搬させるための給電回路の最適設計を行い文献値と一致することを確認し、当該回路を向かい合わせに配置した際の伝搬特性に関して検討を行ってきた。本年度は、円形導波管の両端面に当該回路を装荷し、実際に減肉を模擬したステップ状の不連続を複数仮定した際の反射・透過特性の計算を行い、2箇所に配置した不連続部の距離が4分の1波長離れている場合には反射波がお互いに打ち消し合い良好な透過特性が得られるが、距離が2分の1波長離れている場合には反射波が重ね合わされるために反射特性としてより大きな値となることを確認した。レーザー励起超音波を用いた欠陥検出手法と併せて適用することで、より信頼性の高い欠陥検出が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年目は、弊所で開発を行っている超音波伝搬可視化装置において、複数欠陥を有する試験片にセンサを適用して超音波の伝搬挙動を1度にモニタリング・映像化を行い、特に、近接配置された欠陥の分離判別可能性に関して検討を行った。試験片としては貫通欠陥を使用し、センサとしては垂直探触子を適用した。複数欠陥を有する試験片としては、欠陥中心間の距離:15~5mmの5種類の試験片に関して考察を行った。センサからの入射波に対して欠陥が前後に並んで近接して配置された試験片に対して探傷した結果、欠陥中心間の距離が最も近い5mmにおいて2か所の欠陥からの散乱現象(波頭面)を確認した。さらに、マイクロ波を用いた欠陥検出として、最適化された給電回路を有する円管においてステップ状不連続が存在する際の反射・透過特性に関して検討を行った。当初の計画通りの達成度である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は貫通円形孔からの欠陥検出、2年目は複数センサによる薄板試験片における線状欠陥(き裂)からの欠陥検出、3年目は裏面欠陥を有する厚板試験片においてセンサを対向配置した際の映像化、4年目は複数欠陥を有する試験片における欠陥の判別可能性に関して検討を行った。また、異なる観点からの検査手法として、マイクロ波による欠陥検査についても検討し、最適化された給電回路を有する円管においてステップ状不連続が存在する際の反射・透過特性に関して検討を行った。今後の研究の方策としては、上記手法のさらなる展開として、異なる各種試験片における映像化、センサの適用手法の検討、シミュレーション技術を利用した伝搬現象の検証、モックアップ等への本手法の適用等が挙げられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までの未使用額と併せ、航空チケット購入時や消耗品購入時の相見積により、小口の現金が発生することとなった。申請時の内容に特に変更はない。
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次年度使用額の使用計画 |
主として研究成果を国内外の会議において発表していくための旅費や各種試験片の購入に充てる予定である。
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