大型構造物やエネルギープラント、輸送機、各種部材等への高速・高精度な非破壊評価手法が期待されている。本研究では、パルスレーザーにより励起された超音波による伝搬可視化動画像を利用した非破壊検査手法に関する研究や、極めて長い金属円管でも瞬時に欠陥の有無が判別できるマイクロ波を利用した手法等に関して研究を行っている。 最終年度である本年度は、これまで実施してきた金属円管における欠陥検出法の確立に向け、マイクロ波を用いた検査手法に関して検討を行った。具体的には、これまで主に計算による最適化に関して議論を行ってきたが、本年度は金属円形パイプの内部にマイクロ波を給電するための給電回路の最適設計に加え、プロトタイプの試作・測定までを行った。周波数としては、これまでの研究においては11GHz帯で最適化を行ってきたが、測定に際して取扱いやすさを考慮し、より低い周波数帯として5GHz帯を選択した。様々なパイプ径に対して反射特性が最適となる中心導体(センターピン)の長さを決定した。さらに、外導体内径の形状をステップ状に変化させた広帯域構造に関しても最適なパラメータの導出を行った。導出されたパラメータを実際に適用してプロトタイプ(モックアップ)を作製し、ベクトルネットワークアナライザにより測定を行った。その結果、計算値と実験値が一致することを確認した。所望の周波数において反射が抑圧され、良好な透過特性が得られることを確認した。
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