研究課題/領域番号 |
25420427
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
菊永 和也 独立行政法人産業技術総合研究所, 生産計測技術研究センター, 主任研究員 (10581283)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 静電気 / 可視化 / 計測技術 / 電界 / 振動誘起 |
研究概要 |
本研究では、静電気分布を高速で計測するために、振動誘起法を基盤とした低周波電界の多点計測の技術的基盤を確立することが重要である。本年度は、多点で低周波の電界を計測するセンサについて、その構造、電界の周波数依存性、計測感度の関連を検討した。また、その知見を基に低周波電界が計測可能な小型の指向性センサを開発し、そのセンサのアレイ化による電界分布計測を試みた。 まず、振動誘起法よる低周波電界に関して、電波暗箱内において、小型振動発生装置、レーザー変位計、ロックインアンプ、スペクトラムアナライザ、電界センサ、自動ステージを組み合わせた統合自動計測システムを開発した。それを用いて電界強度と表面電位の関係を調べたところそれらが比例関係であり、電界強度を測定することで静電気の定量的評価が可能であることを明らかした。さらに、電界センサにおいて、モノポール型アンテナ構造のアンテナ長を0mmにしたところ、横方向からの電界の影響を受けにくい指向性の高い小型センサを開発することに成功し、Φ10mmの狭い領域を計測可能な技術を確立した。 続いて、この開発した電界センサをアレイ化(5個×5個)したものを用いて、それぞれのセンサ位置の電界強度を同時に信号処理するシステムを開発した。標準サンプルを用いて振動により誘起された低周波電界において、この開発したシステムを用いることで25mm×25mmの領域の電界分布を計測することに成功した。これにより、低周波電界の多点計測の技術的基盤を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の目的は、振動誘起法を基盤とした低周波電界の多点計測の技術的基盤を確立することである。その中でモノポール型アンテナ構造を用いた低周波用電界センサを開発し、静電気の狭領域計測技術の確立に成功した。さらに、この開発した電界センサは、小型化することが可能であり、そのアンテナアレイ構造により多点電界計測することで、25mm×25mmの領域の電界分布を計測可能な技術を確立することに成功した。これにより当初の目的を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成25年度で確立した小型電界センサのアレイ構造による多点同時計測技術を用いて、静電気二次元分布計測システムを開発する。静電気計測の二次元分布の高空間分解能および高速計測のためには、検出センサのアレイ化による電界計測の干渉を低減した構造の最適化と、それぞれで測定された電界を高感度・高速で計測して静電気情報へ変換するシステムの開発が必要である。 平成26年度は、測定対象物の振動数50-200Hz、振幅1mm以下の条件下において、1-3mmのパッチアンテナ構造を25個の交流信号を同時に計測・信号処理することによって、0.1 秒以下で面積15mm角以下の静電気分布を可視化する技術を確立する。 以上により、現在、想定されている物流の多い現場に応用可能な非接触・静電気二次元分布の可視化計測システムの開発を行う。
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