研究課題/領域番号 |
25420429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
平田 光男 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50282447)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 位置決め終了判定 / 最大出力許容集合 / サポートベクタマシン |
研究概要 |
本研究の目的は,位置決め制御の終了段階において,許容誤差範囲に確実に収まり,位置決め制御が終了したことを,直ちに判定するためのシステマティックな手法を構築することにある。本年度は,問題の定式化と理論構築およびシミュレーションによる有効性検証を主に行った。要点を下記にまとめる。 (1) モデルベースによる手法として,最大出力許容集合という概念を用いて,制御対象のモデルに基づき,位置決め制御の終了判定条件を導出した。得られた条件は,制御対象の状態に対する不等式条件となる。 (2) (1)による手法では,位置決め制御の終了判定を正しく行うために,精度の高いモデルが必要となる。しかし,現実には,モデルと実機の間には何らかのギャップ(摂動)が存在する。そこで,摂動があっても判定精度が著しく低下しないよう,摂動に対するロバスト性を高める手法について検討した。また,最近では,ディジタル制御が多く用いられるが,サンプル点と次のサンプル点の間で許容誤差範囲を超えてしまうと問題となる。そこで,サンプル点間の応答を考慮した終了判定条件について検討を行った。そして,これらの有効性をシミュレーションで検証した。 (3) 機械学習の手法として知られるサポートベクタマシンを用い,実機の応答データから,終了判定条件を学習によって直接求める手法をすでに提案している。その有効性を実機データを用いて検証するために,ハードディスク装置の実機データを入手した。そして,データ処理を行い,有効性検証へ使用できるデータセットの構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた通り,制御対象のモデルに基づく手法として,最大出力許容集合を用いた定式化を行うことができ,また,その有用性も,ハードディスクベンチマーク問題の制御対象を用いたシミュレーションによって示すことができた。実機の応答に基づく手法については,ハードディスク装置の実機データを入手し,有効性検証に必要となるデータセットの構築ができた。このように,当初の研究計画で想定していた各項目について検討することができたことから「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究によって問題の定式化と理論構築の基本的部分は完成したと考えている。次年度以降は,各種産業応用機器の位置決め制御問題へ適用する際に生じるさまざまな問題を解決し,実用化への糸口を見いだしたい。そのために,当初の研究計画にあるように,下記の2点について研究を推進してゆく。 (1) 有効性検証のための高速高精度な位置決め制御実験環境の構築 (2) 実用化の際の問題点の洗い出しと解決策の検討
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究を通して,平成26年度に計画している実験環境の見直しを行ったところ,当初の助成額では費用が不足する可能性が高いことがわかった。そこで,本年度の予算を次年度へ繰り越すこととした。 当初,平成26年度の助成金額230万円(直接経費)のうち,実験装置構築のための物品費として200万円を予定していたが,これに,今年度の繰り越し額100万円を合わせた300万円を実験装置の構築費用として使用する。
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