研究課題/領域番号 |
25420429
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
平田 光男 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50282447)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 位置決め終了判定 / 最大出力許容集合 / サポートベクターマシン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,位置決め制御の終了を判定するためのシステマティックな手法を構築することにある。これまで,制御対象のモデルに基づく手法として最大出力許容集合による方法と,実機の応答データに基づく手法としてサポートベクターマシン(SVM)による方法の二つの方法について問題の定式化と理論構築を行ってきた。本年度は,提案手法の実機検証に向けた取り組みを行った。その要点を以下にまとめる。 (1)最大出力許容集合に基づく手法を実機適用するためには,モデル化誤差と外乱の影響に対してロバストとなる必要がある。前者については,平成25年度の研究でモデル化誤差に対してロバスト性を有する手法をすでに提案している。今年度は,外乱に対してロバストとなる手法を検討し,その有効性をシミュレーションで検証した。これらの検討は,本手法を実機適用する際に必要不可欠となる。 (2)SVMに基づく手法をガルバノスキャナの位置決め制御系へ適用した。ガルバノスキャナとはモータの先端にミラーが取り付けられたメカニカルシステムであり,レーザ加工機などでレーザの照射位置を高速に位置決めする際に用いられる。レーザを照射するためには,位置決め制御が終了していなければならず,本手法が有効となる。ガルバノスキャナの実験装置を用いて実機データを取得し,実際に位置決め終了判定を行い,提案手法の有効性を検証した。その際,SVMのパラメータの影響やカーネル関数の違いによる影響についても考察を行った。 (3)ハードディスク装置(HDD)に対する提案手法の有効性を検証するために,実験装置の構築を行った。市販のHDDを分解し,VCM(Voice Coil Motor)を電流帰還型アンプで駆動できるように改造を加えた。また,ヘッド位置はレーザ変位計で計測することとした。そして,フィードバック制御器の設計を行い,基本的な特性を実測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は当初の予定通り,ハードディスク実験装置の構築と実験による有効性の検証を行った。ただし,ハードディスク実験装置においては,レーザ変位計による位置計測に問題が生じ,その解決に時間を要したため,ハードディスクの位置決め終了判定実験に進むことができなかった。そこで,研究室で所有しているガルバノスキャナ実験装置で,実機検証を進めると同時に,ハードディスク実験装置のトラブルシュートを行い,計画に遅れが出ないようにした。なお,ハードディスク実験装置を用いた有効性検証は平成27年度に行う。このように,多少のトラブルには見舞われたが,当初予定していた検討事項は実施できたため,達成度を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,ハードディスク実験装置を用いた有効性検証を進めることで,シビアな制御性能が要求される制御対象に対して,提案手法の有効性を検証する。そして,その際に生じるさまざまな問題点を解決し,実用化への糸口を見いだしたい。特に,実機適用では,制御対象の変動や外乱に対するロバスト性が求められる。これまでの研究で,ロバスト性に対する理論的な考察は検討済みであることから,今後はそれらの有効性を実機検証していく。また,センサーの分解能やディジタル制御を行う上でのサンプリングに起因する問題があることもわかってきた。これらの問題についても検討を進めたい。そして,平成27年度は最終年度となるので,研究の総括と論文執筆を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置を作成するための部品等の選定に若干の変更が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験装置改良のための消耗品代として使用。
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