これまで行動経済学や社会科学の分野で議論されてきた,人間環境と情報の伝搬に関する確率動力学としての基礎論を,ネットワーク理論・確率過程論とを融合させて,動的システムの枠組みでモデル化した.モデルは離散時間モデルと連続時間モデルの両方を想定し,各主体を接続するネットワークは,有界なものから無限に広いモデルへと拡張していった.有界なネットワークモデルでは,グラフ理論とレプリケータ力学系を結びつけ,確率的有向ラプラシアンから状態方程式を抽出する手法を開発した.無限に広いモデルでは,パーコレーション理論を活用して,情報拡散の臨界確率を特徴付けた.
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