研究課題/領域番号 |
25420444
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
水本 郁朗 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (30239256)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 制御工学 / 適応制御 / PFC / モデルフリー設計 / データ駆動型制御 |
研究概要 |
本年度は,研究開始の初年度であり,基本的に研究目的を達成するための理論的検討を行った.具体的には,下記のように(1)PFCの蓄積データを下にしたモデルフリー設計法におよび(2)PFCを併用した各種制御系設計法の検討に関して,それぞれに対し個別に下記に示すように理論的検討を中心とした基礎的かつ理論的な研究を行った. (1)PFCの蓄積データを下にしたモデルフリー設計法に関しては,より一般的な,希望する拡張制御系(開ループ系)を構成するためのデータに基づくモデルフリーPFC設計法の検討を行い,連続時間系および離散時間系に対する新しい設計法の提案を行った.さらに,提案したPFC設計法を用いた,パフォーマンス駆動型の適応制御系設計法の検討を行った. (2)PFCを併用した各種制御系設計法の検討に関しては,(a)PFCを併用した適応出力フィードバック系の設計法の再検討,(b)PFCを用いた出力推定器の開発とその予測制御への応用,(c)むだ時間を有するシステムに対する制御系設計に関する検討,を行った.(a)では,PFCを付加することによるPFC出力からのバイアス効果の影響により,実出力にオフセット誤差が残ってしまう問題を解決する手法について再検討を行い,その設計法の理論的検討を行った.(b)では,PFCを併用した単純な構造の出力推定器の開発を行い,その予測制御への応用について理論的な検討をおこなった.さらに(c)では,むだ時間を有するシステムに対する,PFCを併用した制御系設計法の検討を行い,これまで取り扱いの難しかったむだ時間系への効果的かつロバストな制御系設計法の理論的検討を行い新しい制御系設計法の提案を行った. 上記の研究成果は,学術誌4編に掲載され,また,国際会議4件で発表されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究目的は,基本的に最終的な研究目的を達成するための理論的検討を行うことであり,具体的には, (1)希望する拡張制御系(開ループ系)を構成するためのデータに基づくモデルフリーPFC 設計法の検討. (2)PFCを併用した各種制御系設計法の検討に関して,(a)PFCを併用した適応出力フィードバック系の設計法の再検討,(b)PFCを用いた出力推定器の開発とその予測制御への応用,(c)むだ時間を有するシステムに対する制御系設計に関する検討. に関する基礎的かつ理論的な検討を行うことであった.これらの本年度の研究目的に対し,研究実績の概要で示したように,計画通りの理論的検討を行い,次年度以降の研究進展のための新しい知見が得られたと考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は本年度に理論的検討を行った,モデルフリーPFC設計法を基に,並行して検討を行った制御手法のデータに基づく適応的手法への拡張を行い,開発したPFCを併用した制御手法のスマート化を図る.さらに,構築したスマート適応制御手法の有用性を数値シミュレーションにより確認し,スマート制御系構築のための理論的な総合的検討を行う.具体的には,初めに開発した予測制御手法に関して,プロセス系およびネットワーク制御系への応用を念頭に,マルチレートシステム(非一様サンプリングを含む)への拡張を行い,任意のサンプリング周期に対応したスマート適応予測制御手法を開発する. さらに,むだ時間を有するメカニカルシステムを念頭に,検討した適応出力フィードバック制御手法とむだ時間系に対する手法を融合させたスマート適応出力フィードバック制御手法の開発を行う. また,この年度では,理論的検討およびシミュレーションによる検討と並行して,次年度に行う実験的検討に備え,その準備を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は,データ整理等で人件費・謝金で15万円の予算を計上していたが,その支出が不要であった. 研究成果発表および資料・情報収集のための予算として使用する予定である.
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