研究課題
倒立振子の安定化は,非線形制御システムの安定化問題として有名な問題である。本研究では,摩擦がある場合にSpongらの部分線形化モデルを用いて,振子がホモクリニック軌道に達する倒立振子制御系を構成した。このようなコントローラは,不安定な制御系を用いて振子の振り上げを可能にできることを示唆している。まず,振子部分システムに対して,提案したコントローラが,倒立点を含むホモクリニック軌道に漸近的に収束することを,負値をもつエネルギー関数の2乗値を用いたリアプノフ関数を用いて証明した。ついで,台車の安定性を保証するために,forwarding的な手法を導入する。台車部分システムに対して,1次安定システムの2乗をリアプノフ関数として定義することにより,安定化を達成した。さらに,全体の安定性を保証するために,振子系のリアプノフ関数に台車系のリアプノフ関数を追加することにより,振子と台車の相互干渉に対するフィードバック補償項を導出し,この補償項が振子のスウィングコントローラと台車の安定化コントローラの比率を重み付けする機能を持っていることを示し,提案したコントローラの有効性を,計算機シミュレーションと実験により確認した。さらに,瞬時リアプノフ指数の時系列による推定法としてマルサス係数推定器を提案し,ECG波形の特徴抽出に応用した。特に,GoisらのVan der pol振動子モデルから得られる各種疾患のシミュレーションデータとデータベースphysionetの実測データを用いて,瞬時リアプノフ指数,マルサス係数推定値,およびリカレンスプロット間で,どのような特徴がでるのかを,正常波形,心室粗動波形,および洞性除脈波形で比較したが,モデルから導出したシミュレーションデータとphysionetの実測データで特徴が大きく異なっていたことがわかり,シミュレーションモデルの妥当性を検証するための手法として,提案手法が適用可能ではないかとの結論に至った。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
International Journal of Control, Automation and Systems
巻: 13 ページ: in press
Journal of Robotics and Mechatronics
巻: 27 ページ: 489-495
10.20965/jrm.2015.p0489